厚生労働省が「自由度の高い働き方にふさわしい制度」(ホワイトカラーエグゼンプション)導入の最終報告を決定! 

 厚生労働省は、27日の労働政策審議会労働条件分科会で、「自由度の高い働き方にふさわしい制度」(ホワイトカラーエグゼンプション)の導入などを盛り込んだ最終報告をまとめました。
 「自由度の高い働き方にふさわしい制度」(ホワイトカラーエグゼンプション)では、対象労働者の範囲を、「管理監督者の一歩手前」とし、年収要件を「管理監督者一般の平均的な年収水準を勘案しつつ、かつ、社会的にみて当該労働者の保護にかけるものとならないよう、適切な水準を当分科会で審議した上で命令で定める」としています。この制度の導入によって、広範な労働者が労働時間規制の外に置かれる危険があります。不払いサービス残業労働基準監督署から是正指導をうけた企業数は、05 年度には1524 社、支払総額233 億円にのぼっています。いま「違法」である状況を法律を変えることによって「合法」化するというのでは、ますますただ働きが広がり、過労死・過労自殺があふれる社会になってしまいます。

学校職場にも大きな影響が・・・

 民間企業でこのような制度が導入されれば、私たちの学校現場にも悪影響をおよぼします。教員には、時間外手当支給制度は適用除外となっていますが、勤務時間は週40 時間と法定され、原則として超勤させない建前となっています。いま京都市教組超勤裁判や川口市教組措置要求判定取消裁判がたたかわれ、無限定な超勤を解消するためのとりくみがすすめられ、全教としても文科省の勤務実態調査結果を活用した超勤解消と健康保持のとりくみを強めていきます。
 しかし、「自由度の高い働き方にふさわしい制度」(ホワイトカラーエグゼンプション)が学校職場にも導入されることとなれば、健康に働き続けるための労働時間規制や時間外手当支給を求めての裁判や措置要求もできなくなります。そして勤務時間の割振り変更などは、もう必要ないことになります。いまでも「子どもたちのために」という善意が逆手にとられ、月平均80 時間の時間外勤務がある状況ですが、裁量の範囲ではこなしきれない業務がさらに押し付けられ、固定化することにもなりかねません。

健康に働き続けられる労働法制の確立を!

 今回の厚生労働省案は、労働者をいつでも解雇される立場におき、「自由な働き方」の名のもとに終わらない仕事におわれる生活を余儀なくします。私たちが健康に働き続けられるため、そして子どもたちが安心して成長し、暮らしていけるよう労働法制の改悪に反対するとりくみを強めましょう!

(注)この制度の導入に伴い、使用者には、「4 週4 日以上かつ1年間を通じて週休2 日分の日数(104 日)以上の休日確保」をもとめ、「確保しなかった場合には罰則を付すこととする」としています。しかし、現行の労働基準法でも、36 協定を締結せずに1日8時間を上限とする法定労働時間を超えて働かせた場合には「6 カ月以下の懲役または30 万円以下の罰金」(労基法119 条)を科すとしていますが、現実には不払い残業が横行し労働時間規制が十分機能しているとはいえない状況です。このような状況からすれば、刑事罰をもってしても休日確保の実効性があるのか大きな疑問があります。
                                  以上