1995年(平成7年)4月11日参議院決算委員会

○高崎裕子君 (前略)
 次の質問に移りますけれども、まず自治省にお尋ねいたしますが、

教職員の健康、それから安全衛生問題が大変大きな問題

となっておりますが、超過勤務、ストレスなどで教職員の過労死というものもふえております。この教職員の休職原因の第一番が神経・精神疾患と、養護学校では腰痛が慢性化しているというような大変過酷な労働実態となっているわけですが、労働安全衛生体制の充実強化ということが求められており、これ自治省が実施された調査で、地方公共団体における安全衛生管理体制の整備状況調査、これで学校の状況としては衛生管理者が四九・五%、安全衛生推進者が三五・二%、そして衛生委員会が三〇・一%ということでよろしいですね。
○政府委員(鈴木正明君) 教育委員会部門における衛生管理者等の整備状況でございますが、平成六年の三月末の状況がわかっておりますので、それで申し上げます。
 衛生管理者が選任されておりますのは五一・三%でございます。安全衛生推進者等が選任されておりますのが三七・四%、衛生委員会の設置は三二・〇%でございまして、首長部門、知事あるいは市町村長部門に比べまして低い状況にございますが、整備状況は年々向上している、こういう状況でございます。
○ 高崎裕子君 それで、引き続き今度は自治大臣にお尋ねいたしますけれども、学校の場合、学校保健法があります。教職員の健康と安全を確保し快適な職場環境をつくるということが労安法の目的となっており、学校保健法と労安法というのは全く別個の法律に当然なっているわけで、その労働安全衛生法が学校現場にもこれは当然適用されるということになるわけです。
 そこはそういうことで、自治省の調査でも、今学校は年々ふえてきていてもおくれているという事実が指摘されたわけですが、この労安法に定められた衛生管理者それから産業医などを選任して衛生委員会を設置し、その機能を果たすべきというふうに思うわけですけれども、この点いかがでしょうか。そして、その上で地方自治体にぜひそういうことで指導をしていただきたいというふうに思いますが、この点いかがですか。
国務大臣野中広務君) 委員御指摘のように、快適な職場環境の形成を促進いたしまして職員の安全と健康を確保いたしますことは、職員にとってはもちろんでございますが、地方公共団体にとりましても公務能率向上の観点から重要なことであると認識をいたしております。
 自治省といたしましては、こうした観点から労働安全衛生法に基づきまして、必要とされます安全衛生管理体制を整備するよう従来から地方公共団体を指導してきたところでございますが、今後とも、担当者会議はもちろんのこと、研修会等の開催等によりまして、学校はもとより地方公共団体の各職場においてこの法律の趣旨の周知徹底が図られるよう指導してまいりたいと存じます。
 特に教育委員会につきましては、教育を所管されます文部省とも連携を図りながら、会議の開催や研修会の実施などにより安全衛生管理体制の充実に努めてまいりたいと存じております。
   〔理事今井澄君退席、委員長着席〕
○高崎裕子君 そこで、文部大臣にお尋ねいたしますけれども、

教職員の健康問題は、過労死で年間三十件も起きるということで、現在健康破壊が大変進んでおります。

 根本問題としては、超過勤務の解消など定数の抜本的な改善あるいは施設整備の改善を進めていくことが必要だというふうに思いますが、今この具体的な数字も含めて指摘したように、学校に衛生委員会が設置されているところが大変少ないわけです。私の北海道では全くこれ設置されていないということで、労安法の内容を今自治大臣も言われましたけれども、ぜひこれは周知徹底し、現場できちんとこの法令に基づいて実施するように指導していただきたいと思いますし、それから衛生委員会の設置状況など実態の調査をぜひ文部省としてもされて、これは全校対象としてされて、衛生委員会の設置をぜひ促進させていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
国務大臣与謝野馨君) 自治大臣が御答弁したとおりでございまして、私どもとしては、自治省とも御相談しながら、それぞれの教育委員会に対して指導をしてまいりたいと考えております。
○ 高崎裕子君 指導をされるということで、それをぜひお願いしたいんですけれども、もう一つ、こういう衛生委員会の設置状況など実態調査をしていただいて、ぜひこれは全校対象としてその衛生委員会を進めるという方向で頑張っていただきたいんですけれども、この実態調査についてはいかがでしょうか。
○ 政府委員(小林敬治君) 先ほど来御答弁申し上げておりますように、衛生委員会その他の労働安全体制が教育委員会関係で非常におくれているという認識に立ちまして、私どもとしてぜひこれらのしっかりした実態を調査してみたいということで、三月三十一日付で調査を依頼したところでございます。
 いろんな原因があろうかと思いますけれども、先生が先ほどおっしゃられましたように、ずっと前に学校保健法がございまして、それで大体足りるんじゃないかというふうな認識が学校の中にあるいはあるのかなと。やはり私どもとしてもこの調査を通じまして、文部省もこの体制づくりに強い関心を持っているということをお示ししながら、この労働安全体制の推進に努めてまいりたいと考えております。
○高崎裕子君 それでは次に、自治省にお尋ねいたします。
 衛生委員会設置に伴って、衛生管理者、衛生推進者などは、今までの業務に環境管理、作業管理、健康管理という三つの管理が日常的な業務となったり、あるいは職場の巡回、チェックなど新たな業務が追加されてくるわけですね。京都や岡山では事務の人が担当しているということで、研修など自治体の負担ともなっているわけで、こういう状況を考慮して人員配置など充実も含めて検討していただきたいわけです。
 平成四年度から新たに健康管理医設置で公立学校教職員保健管理費が計上されました。本来、産業医は少なくとも毎月一回作業場等を巡視することというふうになっております。今の交付税措置では、北海道では各学期一回以上行うこととするということで、つまり各学期一回プラスアルファ程度しかできないわけですね。そういう意味では、こうした報酬の充実を図り実りのある衛生保健対策をぜひ行っていただきたいというふうに思いますが、いかがでしょうか。
 そして、あわせて文部省にお尋ねいたします。
 職場環境を改善していく上で、休憩室や男女別のトイレの改善というのはこれはもうずっと求められており、全日本教職員組合の婦人部が約二千五百校を調査して、休憩室がない学校が六二%という大変な数になっているということが明らかになりましたが、余裕教室、いわゆる空き教室ですが、これを活用するなど、補助をして改善していただきたいと。トイレも男女別というのは七二%で、あとの三〇%は共同ということもありますので、この点もぜひ改善していただきたいというふうに思います。(後略)
○政府委員(遠藤安彦君) 平成四年度から、御指摘のとおり公立学校教職員保健管理費を交付税基準財政需要額に算入しているところでございますが、例えば教職員数が五十人以上の学校につきましては、一日六時間、三日分の医師の報酬を算入いたしているところでございます。医師の単価は学校医の単価を用いているところでございますが、これからも、地方団体の実態や関係省庁からの要望もございますので、そういった点を勘案しながら適切な算入を行うように努めてまいりたいと思っております。
○政府委員(遠山耕平君) 休養室と男女別のトイレの関係でございますが、現在、児童生徒数が減少しておりまして、学校に余裕教室が生じてきております。文部省としましては、余裕教室の活用指針というものを策定しまして、各教育委員会に対しましてその有効な活用を指導しているところでございます。
 御指摘の休養室あるいは更衣室等の教職員の執務環境の充実に資するためのスペースにつきましても、余裕教室活用の例としまして余裕教室活用指針に示しておりまして、設置者の判断によりまして転用することが可能でございます。そして、それに対する補助でございますが、既存の学校におけるこれらの施設の整備につきましては、余裕教室を活用した改造工事、それから老朽校舎の改造工事と並行して実施する場合には、大規模改造事業によりまして国庫補助対象にしているところでございます。
 それから男女別のトイレでございますが、これは学校がやはり教職員の生活の場でもあるということから、男女別に配慮をした施設の整備を行うことが必要でございまして、文部省としましても、特にトイレ等につきましては、学校施設整備指針におきましてあるいは課長会議等の場を通じまして設置者に対しその旨を指導しているところでございます。これから順次解消されていくものと考えております。