国家による教育内容への介入抑制条項を取り除く

教育は政治と違うから

国会で多数決によって決められる法律で、時々の教育内容が支配されてはならないしくみになっています。教育基本法には、このことが「教育は、不当な支配に服することなく、国民全体に対し直接に責任を負って行われるべきものである」と定められています。旭川学力テスト最高裁判決(1976年)でも、法律にもとづく教育行政機関の行為でも、教育基本法の「不当な支配」になる場合があるから、教育内容に対する国家的介入はできるだけ抑制的であるべきことが述べられています。

改悪案は、現行教育基本法の「国民全体に対し直接に責任を負って行われるべきもの」との規定を削除し、「この法律及び他の法律の定めるところにより行われるべきもの」としてしまいました。また国会審議にもはからずに政府が勝手に計画・施策などを定め学校・国民におしつける教育振興基本計画までもが含まれています。26日の共産党志位委員長の質問では、改悪法案が、この国家の教育介入抑制条項をなくし、教育に無制限に介入できるしくみとなっている問題がとりあげられました。

拙速問題に口汚い野次

新聞やテレビの世論調査の結果が取り上げられました。質問が、拙速問題に及び、国民が今国会での成立を急ぐべきでないとしていることに触れられると、町村元文科省をはじめとする与党席からは口汚い野次が浴びせかけられます。国民世論との乖離をどれほど気にしているのかを象徴する出来事です。

日本会議」、超党派議連などからの巻き返しも

自民党大前繁雄議員は、「徳育が重要だ。教育勅語のような道徳律が必要だ。教育勅語は誤解されているがすばらしい内容だ。」などと持論を述べました。

民主党牧義夫議員は、拙速な審議をさけ、超党派議連(教育基本法改正促進委員会)、民間教育臨調日本会議国民議連の合同会議における、①愛国心の表記、 ②宗教的情操の涵養の明記、③「不当な支配に服することなく」の主語を教育行政に改めることなどを求めた決議にもとづき、与党内でも時間をかけて十分な論議を行うことを求めました。

愛国心の評価」埼玉でも52校で

24日の総括質疑で小泉首相が「評価は難しい」とした「愛国心」の通信簿での評価が、埼玉県でも52校に上り、岩手、茨城、愛知などでも行われていることが報道されました。小坂文科相は、「愛国心だけでなく、伝統と文化の尊重、国際社会の平和と発展に寄与などと一体に、総体的な評価であれば問題ない」「適切な評価が行われるよう学校長や教育長会議の場で通知する」と述べました。

「継続審議」の報道も

大幅な会期延長はせず、継続審議の可能性が高まってきたとする報道も目につくようになってきました。改悪案の成立をめぐっても、改悪内容や改悪後の教育行政のあり方をめぐっても、激しい切り結びの中で国会審議が推移しています。国民の世論と運動こそが未来を決めます。全国各地での大宣伝と対話運動の一層の推進が求められています。

5月27日全国大集会、雨の中5万人が集まる!

許すな憲法改悪!守ろう いのちと くらし 、ストップ教育基本法改悪 5・27国民大集会

 朝8時に出発しました。雨模様で、きっと運動会が延期になった学校が多いだろうなあと思いながら、4時間バスに揺られて代々木公園に向かいました。会場のサッカー場は雨対策で一面ブルーシートが敷かれていました。(準備する人は大変だ。)労組・教組だけでなく、業者・農民・退職者(年金者)・女性などの団体の旗が林立しています。

 壇上で、いろんな人が訴えます。戦後も中国で国民党に雇われて戦争をしていた日本人を、『蟻の兵隊』という映画にした監督さんは、「先輩の映画監督は、今は?と聞かれて、戦時中だと言った。」と、YWCAの理事長は「戦争は絶対いけません」と切実に、沖縄から来たおばさんは、「沖縄だけでなく日本全土を基地にさせないように。」と、それぞれに憲法改悪・九条改悪を許さない思いを話されました。

 途中で、しとしとと雨が落ち、やがて激しくなりましたが、壇上の話は終わりません。保育園の民営化をストップさせた船橋市の保育園の人たち、消費税増税をやめさせる署名に取り組む板橋区の業者さんたち、大規模農家しか優遇しない小泉政治に真っ向から立ち向かい、消費者といっしょに食糧と農業を守ろうと運動している大分の農協組合長、「命を守る手が足りません。」と大阪の看護士さんと、各地の力強い運動の話が続きます。

 東京都教組委員長は、既に始まっている東京都の教職員評価、テストなどによる学校の序列化、日の丸・君が代の押しつけなどの弊害を伝えながら、「教育基本法が改悪されれば、もっとひどいことになる。」と訴えました。

 集会の後、3コースに分かれて、1時間半デモをしました。(一部渋滞にさせられた車の運転手からはクラクションの抗議がありましたが、勘弁して)

 それにしても、こういう5万人の集会とデモがあったのに、新聞やテレビはほとんど取り上げていないのです。昔から日本のマスコミはそうなのです。夜の料亭政治は、黒塗りの車が出入りするところから取材するのに。公平ではないですよね。誰かを恐れているのでしょうか。民主主義が日本に浸透していない一つの例です。こういう集会に参加したことがなければ、誰も知らない「世界」にさせられています。

 デモが終わってまた、4時間かけて帰ってきました。ふ〜っ。

 でも(しゃれ?)これで終わりではありません。教育基本法「改正」(改悪)の特別委員会の傍聴、抗議の集会、行動などまだまだやらなきゃならないことが…。誰のために、何のためにやるのって…。

6月3日(土)教基法改悪反対宣伝行動16:30

        青葉公園

三宅晶子千葉大教授の教基法改悪反対講演会

18:00 静岡県経済産業会館(中町)

 運動会の日になっている人もいるかもしれません。雨でもやりますので、一応頭に入れておいてください。

教職員の数減らせ、免許の更新も?冗談じゃない!

 地方公務員で一番人数が多いのは教員なのだから、マイナス4.6%の目標では教職員も例外ではないと言うのが、最近の政府や審議会から聞こえてくる話です。今の学校から1人〜2人減らせって、現場を知ってる者の話ではない。教員免許の更新を現役からも始めようなんて、いったいその数十時間の研修時間をどこから?現場の教職員(組合員)が声を出さないと、学校がおかしくなっていく!!!