与党、明日19日の特別委員会開催を断念

 

本日昼から教育基本法特別委員会理事懇が開かれました。

与党は、総理出席、テレビ中継を入れての5時間の特別委員会質疑(与野党で2時間半ずつ)を、19日に行うことを要求しました。
 野党は、
①医療改悪法案強行採決による衆院不正常の中で、新たな日程協議には応じられない、
②来週半ばに提出できる民主党対案をあわせて議論すべき、
③委員会出席大臣が決まっていない。共産党要求資料提出(与党協議会内容等)などを主張しました。
 夕刻再開された理事会でも、野党側は日程協議に応じられないことを主張。与党側は、
①今後の日程については改めて与野党の筆頭理事と委員長とで協議の上、理事懇で決めたい、
②担当大臣については、文部科学、少子化担当、官房長官など3名の大臣をそろえる。「何月何日にどういう議論をしたか」という資料を提出することなどを言明しました。19日の特別委員会は開かれないことになりました。

教基法「改正」は、教育の場の「格差」を拡大する

弁護士:杉井静子
 小泉首相の強弁にもかかわらず大多数の国民が「格差社会」を実感しています。教育基本法「改正」は教育の場の「格差」をより拡大するものではないでしょうか。 「教育の機会均等」については、2004年の「中間報告」では「すべて」「ひとしく」などの言葉はけずられていました。しかし、今回の「改正」(4条)ではそのまま残されています。だから教育の平等は維持されると思ったら間違いです。
 「落ちこぼれの底辺をあげることにばかり注いできた労力をできる者を限りなく伸ばすことに振り向ける」「非才、無才はただ実直な精神だけを養ってくれればいいのだ(三浦朱門元教育課程審議会々長)という発言にあるように、すでに選別教育のシステムが次々導入されています。公立でも中高一貫校が出来、学区が廃止され「選択の自由」の名の下に「格差」が拡大しています。いくら「自由」だ「選択」だといっても進学塾にも行けない、通学費は払えないという家庭の子どもたちには選択の余地はないのです。親の「所得格差」の影響をもろにうけるのです。
 「改正」案では、義務教育(5条)の「九年間」との文言を削り「別に法律で定めるところによる」ものとされました。これは義務教育の複線化や弾力化に道を開くものです。今日、就学援助をうける子どもが激増しています。東京・大阪では4人に1人の子どもが就学援助をうけています。そのような現状の中で、政府・財界は、義務教育の「平等」「機会均等」を変質させ、貧困者には金をかけない教育をねらっていると思えるのです。そして教育の格差は、社会に出てからの所得格差につながります。「格差社会」を許さないためにも「改正」案には絶対反対の声をあげていきましょう。

全教静岡、静岡市教組が与党特別委員会委員に要請文

教育基本法改定案に対する要請

 貴党の「最終報告」を受けて政府から提案された教育基本法改定案に反対します。
 私たちは、常々教育基本法の中身が教育現場・学校現場に生かされていないと思っていました。そのため、子どもたち一人ひとりにゆきとどいた教育を行うことができるよう教育予算を増やし、少人数学級を国の責任で実現してほしい等を行政に対して要求してきました。しかし、そうした要求はとりわけ最近は取り上げられることが少なく、逆に国庫負担が削減されたり、一旦は取り上げられるかと思われた30人学級も撤回されたりなど、行政の姿勢は後退しつつあります。そういう中で貴党や政府が提案する「改定案」に注目してきました。が、改定案は「国民全体に対し直接に責任を負って行われるべき」教育行政について、「この法律及び他の法律の定めるところにより」と曖昧にし、その上で「教育振興基本計画」を国会の審議抜きに定めるとしています。国民の願いを実現する教育行政から、国家による上からの教育統制を許しながら、国民や現場が必要としている教育条件整備には責任を回避できるものとなっています。残念なことです。
 また、「時代の変化に見合った」ものになるかとも注目していました。しかし、それも「我が国と郷土を愛する」「態度を養う」に象徴的なように、戦前の教育勅語に似て国家が国民に徳目を迫る内容となっており、新しいどころか戦争の時代の復活を思い起こさせられる改定案です。「教え子を再び戦場に送らない」と常々考えて実践してきている私たちにとって到底受け入れられるものではありません。
 貴党は、与党協議会で3年にわたって検討したものだと言っておられるようです。それならば、先ず堂々とその協議内容を広く国民に示していただきたいと思います。 さらには、与党だけで(しかも協議会だけで)検討したものですから、当然国会はもとより、国民全体の中にも議論を投げかけるべきだと思います。十分すぎるくらいの討論をすることこそが、教育の発展のために重要だと考えます。
 国民的議論には、会期延長したぐらいでは十分とは言えません。成立のための会期延長にも反対します。
貴委員が、以上のことを踏まえられ、慎重に対応されることをお願いします。