コーチングスタッフ

  
 秋も日一日と深まり、朝夕は寒さを感じるほどの気候となって参りました。皆さん、いかがお過ごしでしょうか。
 さて、あなたの学校では、コーチングスタッフによる年二回の学校訪問は既に終了したでしょうか。そして、皆さんの学校でのコーチングスタッフに対する評価は、どんなものだったでしょうか。
   コーチングスタッフって何?
 皆さんは、“コーチングスタッフによる「魅力ある授業」づくり支援事業”がどうして生まれたか、ご存じですか。多分、ほとんどの方がご存じないのではないでしょうか。4月になって「コーチングスタッフが来るよ」と言われ、そこで初めて“コーチングスタッフ”について知ったというのが実態だと思います。
 つまり、コーチングスタッフは、教育現場で働く“私たちの要求”から生まれたものではないのです。いつもそうであるように、“上から一方的”に現場に下ろされてきたものなのです。
 驚くことに、今年この事業に約二億円(正確には1億7900万円を予算計上)使われるというのです(二年間ですから四億近くなるようです)。コーチングスタッフは、そんな大金を使うべき事業なのでしょうか。
 「実施要項」によると、「教員の『魅力ある授業』づくりを支援するために、教科指導力を持った退職校長等を『コーチングスタッフ』として任用し、学校訪問を通して『静岡県版カリキュラム』の普及・浸透を図り、すべての小中学校において教員の県版カリキュラムを活用した実践的指導力の向上を目指す」(下線は組合)となっています。
 つまり、コーチングスタッフは、教員に県版カリキュラムを活用させるために送り込まれてきたわけです。
 ところで、その「県版カリキュラム」ですが、そんなに大事にしなければならないものなのでしょうか。読んでみればわかるように、「県版」らしい部分も教科によっては少し見られますが、学習指導要領を少しいじった程度のもので、とても“優れもの”とは言えない代物です。
   学校訪問の実態は・・・
 さて、その活用のために派遣されるというコーチングスタッフですが、“本音で語る実態報告”を聞く限り《現場では歓迎されていない》《いらないもの》だと言えます。県内各所から寄せられた声の中から、その一部を紹介します。
■授業者の希望がなかったため、A小学校では若手と研修主任が授業を行った。「県版カリキュラムといっても、新しいことがあるわけではない。学習指導要領を具体的に解説したものだ」とコーチングスタッフの言。「だったらコーチングスタッフはいらないねぇ」の声もあり。 
静岡市内で多いのは、授業者は教科主任が受けるというもの。「なんで私なの?」という不満も出るが、希望者がいないため仕方なく承諾しているようだ。
■「教師主導の授業など、今時ありえない」等と言って、学級の状況や担任の考えも聞かず、授業論の押しつけをして「指導」を終えたコーチングスタッフもいる。
■B小学校では、授業者は指導力が不安視されている者に当てられた。
■指導の日、C小学校では半分の教室が教師不在になってしまった。午前中、三時間も「指導」を受けた教師もいた。
■D小学校では、授業を受けるのは若い人がいいということで、職員室で校長が指名していた。丁度、学校行事があって忙しい時期のため、「なんでこんな時期に来るんですか」との不満が聞かれた。
■中部では学校によってではあるが、授業案の準備については緩やか(「A4一枚程度で、授業の流れがわかるものがあればよい」と公式文書には掲載)だったが、東部や西部ではA4二枚などと決められ、授業案を提出させられている。
支部(静教組)に「廃止してほしい」と言ったら、その要求は却下されてしまった。「ありがたかった」という評価も聞いたが、指導案を書くのがとても大変そうだった。
結論!コーチングスタッフは無駄遣い!
 「指導」することになっている「県版カリキュラム」は、前述したように“優れもの”ではなく、参考程度に見ればいいものです。これ以上現場を忙しくさせるものはいりません。そして、教育現場に「複数の指導主事」など不用です。現場の実態に疎い、退職した管理職などを人材として活用する必要は、全くありません。
 私たち全教静岡は、「無駄遣いはやめて、その金を教育条件整備に回せ」と県教委に訴えています。