事実と道理を無視した日本航空(JAL)客室乗務員・運航乗務員の東京高裁判決に抗議する

(全教談話)

2014 年6 月11 日
全日本教職員組合(全教)
書記長 今谷 賢二
1.日本航空による不当解雇の撤回を求める客室乗務員の裁判で、東京高裁(大竹たけし裁
判長)は、6 月3 日、原告の控訴を棄却し、解雇を認めた東京地裁判決を維持する事実と道
理を無視した極めて不当な判決を出しました。東京高裁(三輪和雄裁判長)は5 日、日本航
空のパイロットを不当解雇し、解雇撤回・現職復帰を求めた裁判で、控訴を棄却し、解雇
を有効とする不当判決を言い渡しました。これらの高裁判決は極めて不当な判決であり、
全教は満身の怒りをこめて強く抗議するものです。


2.2010 年末に日本航空は客室乗務員84 人、パイロット81 人を不当解雇しました。
 2011年1 月には東京地裁に提訴するとともに、国民支援共闘会議、支える会を結成し、不当解
雇撤回・現職復帰を求めてたたかってきました。
 2012 年3 月の東京地裁判決は、「会社更生手続きの解雇だから特別だ。どんなに営業利益が
上がっていても、更生手続きで予定された人員削減体制にするために解雇は必要だった」と解雇
を容認しました。
 東京高裁では、更生手続き中の解雇だから特別だという論理に対して、労働法学、倒産
法学、会計学の学者・研究者の方々から、その理論的誤りを追及する意見書が高裁に提出
されました。あわせて、全国から25 万筆の公正な裁判を求める要請署名、1 万5000 通の
証人採用要請のはがきを集中し、証人尋問、本人尋問、意見陳述を確保し、


解雇の時点で会社の人員削減目標は既に超過達成され、解雇の必要性はなかった事実、
解雇に至る会社の信義則違反・不当労働行為など解雇の違法を裏付ける事実を証明しました。
 解雇の違法を裏付ける決定的な事実について、会社は何一つ反論・反証できになかった
にもかかわらず、判決は、そのことを悉く無視し、「更生計画ありき、よって解雇有効」
という論理によって解雇を容認しました。


3.これでは、「更生計画」下にある会社がどのような解雇をおこなっても許されること
になります。まさに「首切り自由」に道を開く労働者全体への攻撃です。ベテランパイロ
ットと客室乗務員の解雇を容認する判決は、空の安全と国民の命を脅かすものです。東京
高裁判決は、国民の権利を守るべき司法がその本来の責務を投げ捨てたものであり、労働
者の存在と事実と道理を無視した最悪の判決です。


4.全教は、不当な東京高裁判決が「解雇自由社会の布石」であり、労働者全体の問題と
して、安倍政権がねらう労働者派遣法大改悪、「残業代ゼロ」など労働法制の全面改悪攻
撃を許さないため奮闘します。東京高裁の不当判決を厳しく糾弾するとともに、国民支援
共闘会議に結集して、日本航空の解雇撤回・現職復帰を求めて全力をあげてたたかう決意
です。
                                  以上