全教(全日本教職員組合)など、全国の運動に呼応し、
昨日、全教静岡(全静岡教職員組合)として、
次のような「要請書」を県教育次長に手渡しました。
「(県教委と)言いたいことは同じだよ。」と次長。


2014年 5月13日
静岡県教育委員会
委員長  様
教育長  様
全静岡教職員組合   
執行委員長 


「ゆきとどいた教育」、「高校無償化」復活、「高校生・大学生への給付制奨学金創設」を求める要請書

日頃より、子どもたちの笑顔が輝く学校づくりや、ゆきとどいた教育をもとめる父母・住民の願いに応える教育行政など、地方の教育向上にご尽力いただいていることに敬意を表します。


 全国の多くの自治体が独自に少人数学級を実施しています。国は、地方の動きに後押しされ、2011年度は小1で、2012年度は小2で35人以下学級を実施しました。しかし、安倍政権に代わった2013年度以降は、父母・国民の期待に背を向け、35人以下学級の前進を見送り、教職員定数改善計画も1959年に開始して以来、初の「純減」を強行しました。
いま学校では、いじめ・体罰の問題や「全国一斉学力テスト」体制による競争主義教育によって、多くの子どもたちが苦しんでいます。さらに、子どもたちを守るべき教職員も長時間過密労働で追いつめられています。こうした状況を変えていくために、少人数学級実現や教職員定数増は大きな力を発揮します。国に先駆けて少人数学級を実施している自治体では、学級規模が小さくなることで不登校や生活指導の件数が減り、学習に対する理解や意欲も高まり、また、定数増で教職員が子どもと向き合う時間が増えて学校が落ち着いてきたなど、これらの施策が有効であることが報告されています。


 しかし、少人数学級実現や教職員定数増を自治体だけの負担に転嫁するならば、財政力のちがいによる自治体間格差が生じることになります。教育の機会均等を保障するためには、国が責任を持って少人数学級実現と教職員定数増をおこなうことが強く求められています。
2014年4月の高校入学生から「高校無償化」に所得制限が導入されました。これは、「あなたの学びを社会全体で支えます」という「高校無償化」の理念を根本からふみにじり、「原則無償」から「原則有償」へと制度を大きく後退させるものです。それは、高校生や父母、国民に対する約束違反であると同時に、政府が2012年に留保を撤回した、中等教育の漸進的無償化を定めた国際人権規約に違反する、世界への約束違反でもあります。


 就学支援金の受給に所得証明の提出が義務づけられ、高校生や保護者の新たな負担となり、所得証明の提出が困難な高校生や保護者が就学支援金を受けられないおそれもあり、自治体、学校の事務量が膨大になっています。また、授業料を払う生徒と払わない生徒、就学支援金を受給できる生徒と受給できない生徒が、同じ学校や学級の中で学ぶことになり、各家庭の経済状況が可視化され、生徒を分断し精神的苦痛を与えています。OECD諸国で高校授業料に所得制限を導入している国はなく、大多数の国々は高校無償化を実現しています。
非課税世帯の高校生に支給される「奨学のための給付金」は実質的な給付制奨学金であり、この間の無償教育を求める運動と世論の成果とすることができますが、その財源が年収910万円以上の世帯の高校生から徴収した授業料であることは大きな問題です。
日本の「教育機関への公財政支出の対GDP比(2010年度)」は3.6%でOECD諸国の中では4年連続最下位となっています。段階的にOECD平均並みの5.4%まで引き上げていけば、小・中・高校の30人以下学級の実現のみならず、就学前から大学まで教育の無償化をすすめることが可能となります。


 地方に負担を押しつけることなく、国の責任による教育条件整備をすすめることが必要です。


 以上の趣旨にもとづき、貴職から国に対し、下記について要望していただきますようお願いします。

                  記

 1、国の責任で、すべての小・中学校、高校で30人学級を実現すること


 2、国は、新たな教職員定数改善計画をつくり、計画的に教職員を増やすこと


 3、国は、「高等学校等就学支援金」への所得制限をやめて「高校無償化」を復活すること


 4、国は、教育予算を増やして、高校生・大学生に対する「給付制奨学金」制度をつくること


                                     以上