全教静岡 対静岡県教委重点要求に対する回答

 2011年4月28日に行われた、春闘静岡県教育長交渉における県教委の文書回答は、以下の通りです。
 回答に不満な点、理解できないなどが多く、再質問中です。詳しくは後日。
 ご意見をお寄せください。

★全教静岡の重点要求

 子どもの就・修学を保障し、充実した教育を実現させること
・子どもたちの学ぶ権利を保障すること。
 〜 静岡県の場合、要保護・準要保護を受けている割合が極めて低いという実態が改善されない要因を探り、受給条件を満たす家庭が安心して就学援助金を受けられるように市町教育委員会に働き掛けること。

静岡県教委回答文

 就学援助につきましては、学校教育法の規定に基づき、経済的理由によって就学困難と認められる学齢児童生徒の保護者に対し必要な援助を市町が行っております。この就学援助事業の運用につきましては、市町の裁量に任されております。
 県教育委員会といたしましては、学校教育法の趣旨に基づいた適正運用はもとより、県民に利用しやすい実施方法の工夫・周知について、引き続き、市町に文書を通じて、さらには経理指導訪問時に働き掛けてまいります。

★全教静岡の重点要求

 東日本大震災及び福島原発放射能漏れに関係して
・ 『未曾有の被害』『想定外』と言われる大地震の発生に関連して
 〜 避難場所として、トイレ、水道、スロープ等の学校内施設の充実を図ること。

静岡県教委回答文

 市町立学校施設につきましては、その多くが災害時の避難場所となっていることから、児童生徒のみならず地域の住民の生命・安全を確保するために、施設の設置・管理者である市町が国交付金事業等を活用して地震防災対策を進めてきたところです。
 また、トイレ改修やスロープの設置等の教育環境の改善を図る施設整備も国交付金の対象となっているところです。
 県教育委員会といたしましては、学校施設耐震化等に係る国の動向を注視するとともに、引き続き市町が地域の実情にあった施設整備等を進められるよう、国の制度等について情報を提供してまいります。

★全教静岡の重点要求

 教職員の賃金改善について
・ 教員の給与制度の改変について
 〜 1級1職を理由にした事務・栄養職員の給与改悪による大幅な賃下げは、仕事内容及び勤務実態にまったく見合っていないことから早急に改善措置をとること。

静岡県教委の回答文

 事務・栄養職員の給与制度につきましては、平成22年度に知事部局が実施した級別職務区分表との整合性を図る観点から、教育委員会におきましても同様の見直しを行ったものです。
 具体的には、「職務給の原則」に基づき,県民や職員にも理解を得られる給与制度とするため、選考を伴わない経験年数による昇格の廃止を行うとともに、級に応じた職務加算率の引き上げを実施したところです。
 また、22年度末現任者につきましては、現級保障を実施しております。

★全教静岡の重点要求

 教職員の労働時間、休日、休暇の改善について
・ 労働時間の短縮についての要求
 〜県が実施した『教員の勤務状況調査』『学校を取り巻く実態調査報告』の結果を生かし、労働時間の短縮等を進めること。とりわけ学校マネジメント向上プロ
ジェクトの報告『学校運営改善事例集』にある ?定時退庁日の設定 ? 労働時間の適正な把握と労働安全衛生管理の推進 の実現を図ること。
 〜 所定内労働時間1日7時間45分、週38時間45分の短縮化が、実効あるものとなっていないことを受け止め対策を講じること。
 〜 長期休業中の勤務について、職場から完全に離れることを可能とする勤務形態とすること。

静岡県教委の回答文

 労働時間の適正な把握や教職員の勤務時間の厳守、多忙な勤務の解消につきましては、学校運営の改善状況調査で実施した「定時退勤日の設定」、「労働時間の適正な把握と労働安全衛生管理」等に関する調査結果を分析し、成果や課題を市町教育委員会に伝えるなど、各学校の実態に応じた適切な指導がなされるよう働き掛けてまいります。
 また、労働安全管理体制や教職員の健康管理の徹底につきましては、本年4月に開催した、市町教育長会及び小中学校校長会において強く依頼したところでありますが、今後も引続き機会を捉え、体制が確立するよう働き掛けてまいります。
 なお、長期休業中の勤務につきましては適切に行うよう指導しております。

★全教静岡の重点要求

 各種休暇制度の充実について
・ 私傷病特休について
 〜 教職員の負傷または疾病のための治療・休養にあたっては、特別休暇(病休)の取得を保障し、年次有給休暇の取得を強要しないこと。
 〜 本人の側に立った制度であるために、その運用に対して組合との協議の場を持つこと。
 〜 期間の上限の短縮等、更なる改悪をしないこと。

静岡県教委の回答文

 教職員の負傷または疾病のための治療・休養につきましては、負傷または疾病の状況を確実に把握し、「職員の勤務時間、休日、休暇等に関する規則」及び市町教育委員会の「学校管理規則」等に基づき、適切な対応がなされるよう働き掛けてまいります。
 病気休暇制度につきましては、平成23年度は、国における制度内容を本県の疾病等に係る休暇制度の見直し最終形としつつも、他の都道府県の休暇制度と同程度の水準への見直しを行いました。
 なお、平成24年度以降につきましては、国の運用状況や他の都道府県の見直しの進捗状況等を踏まえながら、更なる見直しを実施していくこととしたいと考えておりますが、その際には職員団体の皆さんと話し合ってまいりたいと考えております。

★全教静岡の重点要求

 とりわけ新規採用者等若手教職員の命と健康を守るために
・ 初任者研を弾力的に運用すること。
 〜 決められている日数は、標準であるゆえに弾力的に運用すること。また、内容に関しても、学校行事を優先させ初任者研に充てることができるなどの弾力的な運用とすること。
 〜 研修会に持参する指導案等のレポート類に関して、原則的にはやめさせること。また、事後レポートも同様とすること。
 〜 学校内においても、レポート方式を極力取りやめること。また毎日つける日誌も基本的にはやめさせること。
 〜 原則的に週1回行われている授業案を作成しての研修授業は基本的にやめること。
 〜 2年目に向けて、研究論文に応募することを義務付けないこと。

静岡県教委の回答文

 初任者研修につきましては、各教育事務所において平成23年3月に行われた初任者研修実施校校長等連絡協議会で、初任者の負担度や困難度が高い項目を伝え、初任者のメンタルヘルスについて配慮し、実態に合った指導を心がけてほしいことを依頼したところです。
 今後、初任者研修の負担軽減を目指し、教職員研修企画調整委員会において検討してまいりたいと考えております。

★全教静岡の要求

 臨時的任用職員の賃金や待遇の改善をはかること
・ 人事委員会勧告をふまえて研究していくと回答したその進捗状況と見直しを明らかにすること。
 〜 同一労働・同一賃金の考え方で、臨時的任用職員の待遇改善を進めること。
 〜 臨時的任用教員の職のあり方に関しては、給料表2級適合とし、昇給の上限を設定しないこと。
 〜 一時金については、基準日に在籍しない臨時的任用職員についても、その実勤務期間に応じた支給を行うこと。
 〜 常勤講師の年次有給休暇繰越しを可能とすること。
 〜 長年、学校現場で講師として働いている人々に対し、安定した生活ができるよう配慮すること。

静岡県教委の回答文

 臨時的任用教職員の処遇等につきましては、引き続き、人事委員会報告をふまえて研究したいと考えております。

★全教静岡の重点要求

 臨時的任用職員の任用時において
 〜 労働条件を明示した労働契約を結ぶこと。
 〜 実質継続任用の場合、提出書類を簡素化するとともに、本人の経済的負担や損失が生じないようにすること。
 〜 採用時に伴う健康診断は、市町でも公費で実施されるようにすること。

静岡県教委の回答文

 臨時的教職員の任用につきましては、各要綱に基づき手続きを行っております。 勤務条件につきましては、書面により明示しております。
 採用時の健康診断の経費負担につきましては、市町の判断によります。
 なお、健康診断書も含め提出書類について研究してまいります。

★全教静岡の重点要求

 憲法に立脚した民主教育を確立するために
・ 憲法子どもの権利条約の精神が生かされた学校づくり
 〜 中学校教科書採択に関して、現場教員の意見・判断を第一に取り入れること。採択にかかわる一部の委員による恣意的な価値判断や市町長の個人的な意見が横行するような採択を許さないこと。

静岡県教委の回答文書

中学校教科書採択につきましては、選定対象教科書は、中学校学習指導要領に準拠し、全て文科省教科書検定に合格したものとなっております。県教育委員会といたしましては、採択権限のある市町教育委員会が行う採択事務について、教科書無償措置法等の法令に則り、静岡県教科用図書選定審議会の意見をもとに、適切な指導、助言、援助を行っております。

★全教静岡の重点要求

 教育条件の整備について
・ 教職員の定数増を図ること
 〜 特休取得に伴う代替者の派遣を確実に行えるように対策をとること。また、派遣に関する現規定(校長決裁期間を越える場合)を改めること。具体的には、1週を超える期間、教職員に欠員が生じたり、若しくは生じることが明らかになったりした場合には、期間の長さを問わず、代替者を直ちに派遣できるようにすること。

静岡県教委の回答文書

 特休代替講師につきましては、学校運営に支障がでないように努めてきたところでありますが、今後期間の長短を問わず代替者の確保が可能であるか研究してまいりたいと考えております。

★全教静岡の重点要求

 子どもと向き合う時間が確保され、ゆきとどいた教育活動が展開できるために
・ 静岡県独自に、小・中学校の全学年において30人学級を実現すること。当面、小学校1・2年生の30人学級を実現すること。少人数学級の実現に関しては、加配教員を引き上げたり、臨時・非常勤を増やしたりしないよう県費負担で行うこと。

静岡県教委の回答文

 30人以下学級実現に向けた県単独による措置につきましては、現在、「静岡式35人学級編制」を目指しているため困難であります。
 なお、小学校1年生につきましては、義務標準法の改正により35人学級編制が実施されました。「静岡式35人学級編制」で、今年度、中学校全学年及び小学校5年生、6年生て実施したところであり、平成25年度を目途に全学年で実施するように計画しております。
 今後も、国の動向を見極めながら、静岡式35人学級編制の拡充を図るとともに、教職員の増員等、適正配置について検討してまいります。

★全教静岡の重点要求

その他
 〜 『主幹制度』導入により、管理職の登用制度の不透明性がいっそう高まった。不透明さ及び癒着の原因となる管理職登用に係る推薦制度は取り止めるなどして透明性を確保すること。

静岡県教委の回答文

 管理職の登用につきましては、管理職として適性のある者を選考するため、実績に基づいた推薦制度は必要であると考えております。
 また、筆記試験や面接試験など多様な選考方法により管理職登用の公正さを保っております。