2009年度末人事異動に関する要求書

貴職におかれましては、目頃より静岡県の教育の発展・向上のために尽力されておりますことに敬意を表します。
 さて、年度末人事は教職員の生活権と子どもたちの学習権に関わる重大な問題であり、異動に際しては教職員の身分の尊重、待遇の適正化が配慮されなければなりません。また、「人事異動は教職員の勤務条件の変更」であることも明らかな事実であり、CEART勧告でも言われているように人事異動に関わる問題については組合との交渉により、その合意に達した事項によって、公正・明瞭な人事異動を行うべきと考えます。
 以下、重点を要求書の形にまとめました。つきましては、例年通り11月上旬までに文書による回答を求めますので、ご配意願います。

(1)人事異動は教職員の勤務条件・通勤条件の重大な変更であり、CEART勧告に基づき組合に対し誠実に交渉にあたること。

(2)“異常な勤務実態”が県の調査で実証されたにもかかわらず、その実態がほとんど改善されず、現在に至っている。そして、相も変わらず上からの「教育改革」が続き、教職員一人ひとりの多忙状況は一層深刻化し、毎年指摘しているように体調を崩したり精神的に異常を訴えたりする教職員が増加している。現場教職員の実態をしっかりと把握し、「理想の学校教育具現化委員会」答申にも示されたゆとりのある「増員・加配を含めた適正な人事配置」を行うこと。

(3)学校現場に分断と混乱をもたらし、益々多忙化に導く「主幹教諭」の配置はやめること。

(4)「定数内講師」でなく正規教員を配置していくための具体的な計画を明らかにすること。

(5)中1、中2の「35人学級」については県単独の加配措置に基づくものにすること。

(6)小中全学年において「30人以下学級」(小1・2については20人以下)実施のための人事配置を行うこと。

(7)異動は公正かつ民主的に行い、差別的人事は一切行わないこと。教職員の生活条件・教育計画をふまえ、『希望と納得』に基づく人事を行うこと。地教行法38条・39条に基づかない人事は絶対に行わないこと。

(8)地域・子どもをよく知り、子どもの教育に責任を持てる教職員を配置するために、最低でも5、6年は同一校勤務を保障すること。また、毎年指摘しているように新規採用からの10年間3校という形式的な異動はやめ、本人の意向を尊重した人事異動をすること。

(9)広域人事により家庭別居・遠距離通勤等、結果的に人権無視や生活破壊につながる人事は行わないこと。また、長時間通勤もないよう配慮すること。

(10)妊娠中、産休中、育休中の女性教職員に対する人事は本人の希望を尊重し、母性保護を最優先させること。不妊治療中の教員に対しても配慮すること。また、育児短時間勤務等を希望する教職員に対しても配慮すること。

(11)管外等への転出希望者については、本人の希望を重視し、それが実現するよう努力すること。

(12)「希望表明制度」をやめること。またその実態を明らかにすること。

(13)「市籍・県籍の選択」については、それが個人の不利益とならないよう配慮すること。   また、「籍の固定化」による問題についても、その解決を図ること。

(14)学校事務職員、養護教諭、栄養職員の異動に際し、広域人事とならないよう配慮すること。また、異動の有無を早めに知らせること。

(15)学校事務職員や養護教諭に関わる「複数校兼務」の解消を図ること。また「初任者指導」教員の複数校兼務の解消等についてもその実現を図ること。

(16)法の趣旨に沿って60歳までの勤務を保障し、組織的・計画的な退職勧奨は絶対に行わないこと。本人から個別勧奨に応じない意思表示があった場合は、退職を絶対に強要しないこと。特に、女性教職員に対する差別的若年勧奨は絶対に行わないこと。

(17)最近急増している精神疾患による特休・休職者の現場復帰に際しては、過度の負担等をかけたり退職に追いやったりせず、本人が安心して職務に専念できるよう十分な配慮を行うこと。

(18)留任希望者を転任対象としたり転任希望者を留任対象とする揚合は、本人の意思の形成過程を大切にする観点から、早めの打診を行い、かつ無理強いのない『希望と納得の人事』を推進すること。「留任希望でも、在籍3年以上の者は転任希望校を書く」というような本人の希望を全く考慮しない矛盾した人事は絶対に行わないこと。

(19)県の人事異動方針提示前に「希望調査」を提出させることのないよう地教委や校長を指導すること。また、成績事務や面談準備の忙しい時期であることを考慮した人事日程とすること。また、一部地域で行われているような、管理主事訪問に合わせて異動希望を提出させるなどのことは、やめさせること。

(20)2月中に異動の有無を教職員本人に知らせること。また、異動発表2週間前までに、内示を本人と組合(分会)に必ず行うこと。その際、問題が生じた場合は本人や分会の要求に沿った解決が得られるよう最大限の努力をすること。

(21)教員採用や管理職への登用に関し、今まで以上に透明性(公開性)を確保すること。校長・教頭の任用については、再三再四要望してきたように、現揚教職員からの信任があり、人格・見識ともに優れ、民主教育推進にあたる能力を有する者で、かつ関係労働法や制度に熟知した教職員を充てること。女性管理職の登用を促進すること。管理職候補者になるために必要とされている「校長の推薦」はやめること。
              以上