県知事選で,全教静岡が質問状   

自・公推薦候補敗れる
皆さんご存知のように,県知事選は民主・国民新・社民推薦の川勝平太氏が,自民・公明推薦の候補者を僅差で破り当選しました。知事選にあたり,全教静岡では6月25日付で下記の内容の質問状を送り,3候補者から回答を得ました。本来ならば選挙前にHPなどで公表するべきだったのですが,今回はできませんでしたので,今後の公約実現や我々の要求実現に生かしていけるようにここで紹介します。

質問内容
質問1 昨年出された「理想の教育具現化委員会」の提言にあった「静岡式30人学級編成の導入」について,どうお考えですか。現状では,今年度から新たに中2に対して具体的な取り組みが進みました。今後の拡充についてのお考えはありますか。
質問2 「理想の教育具現化委員会」の提言にあった具現化のための総事業費は,5年間で総額2390億円と試算されました。教育に関する予算編成に対して,どのようなお考えをお持ちですか。(日本の教育予算の低さ,さらにその中でも静岡県の低さは何度も話題になってきていますが,改善される気配はありません。)
質問3 不況下のもとで教育に関わる父母負担金が家計を圧迫し,進学や修学をあきらめる家庭が増えています。就学援助の申請基準を緩和することや私学助成など,具体的な支援策はお持ちでしょうか。

 回答(到着順)
平野定義氏(6月27日着)
1 「どのこどもにも行き届いた教育」を目標に,教育活動を実践されていることに敬意を表します。ご質問の「静岡式」30人学級は,「1学年40人以上でないと2学級としない,つまり20人以下の学級編成は認めない」との県教委の説明では,真の30人学級とならず,教育効果もありません。私は,こうした基準を改め,すべてのクラスを30人学級とし,少人数学級の効果が発揮できるようにいたします。
2 本県は,財政力は6位ですが,教育予算は児童・生徒1人あたり,小学校45位,中学校46位,特別支援学校47位という状況にあることは,こうした教育軽視の権勢を支えてきた自・公・民など日本共産党以外の政党の責任も問われています。私は,このような教育予算を財政力に見合うよう増額し,明日の静岡を担うこどもを大切にする県政とします。
3 今,日本は世界の先進国の中でも教育予算は最低の基準にあるとの「OECD」の指摘を待つまでもなく,小泉構造改革政治により,「親の経済力が子どもの教育を左右する『貧困の再生産』」と指摘される状況にあります。私は,すべてのこどもに教育を受ける権利を保障するため,就学援助,授業料減免の基準緩和,奨学金の給付基準の見直しなどとともに,公私格差の是正に必要な私学助成費の増額など「教育の機会均等」を保障するよう全力を尽くします。
坂本ゆきこ氏(6月29日着)
1 少人数学級については,子どもたちが生き生き育つ教育環境をつくるための政策としてかかげられております。「静岡式30人学級編成」は過度に少人数になると,学級運営や諸行事にマイナス面があることも留意しており,よく考えられた案であると思います。本年度,静岡県では,理想の学校教育具現化委員会の提言を踏まえ,中学校1年で実施してきた35人学級編成を,中学校2年生まで拡充し,「静岡式35人学級編成」を実施していますが,この成果を検証しつつ,さらなる拡充に努めてまいります。
2 これからの静岡県,ひいては日本の未来を担う子どもたちの育成は,今日の社会の課題であり,教育の充実は,未来への最大の投資です。提言にも述べられているとおり,理想の学校教育を具現化するためには,多くの施策が考えられます。学校現場のニーズを踏まえ,緊急性を勘案し,優先順位を付けて取り組むことが大切と認識しております。
3 子どもの一人ひとりの学びを保障する教育の推進が何より重要です。親の経済的条件等により子どもの教育に格差が生じ,それがさらに次世代へと続くことがないように,公的支援を拡充し,教育の機会均等を図ることは大きな課題です。5月末,国の教育再生懇談会から第4次報告が出され,その中で保護者の教育費負担の軽減方策について,小中学校の児童生徒に対する就学援助の充実,高校生に対する授業料減免措置や奨学金の充実等が提言され,国の経済対策として授業料減免や奨学金の拡充等が実施されることとなりましたので対応していきたいと考えております。

川勝平太氏(6月30日着)
1 教師の負担を軽減し,先生が子どもたちと接触する機会をふやすためにクラスサイズの縮小は有効です。マニフェストに示していますように,静岡式35人学級を継承・発展させ,少人数学級を拡充してまいります。
2 教育予算の確保と拡充は最優先の3本柱の1つです。限られた予算の中で,教育効果や児童生徒・教職員の負担,学校種による実態の違い,緊急性等を勘案し,メリハリをつけたいと考えます。
3 具体的な支援は,現時点では明確にできませんが,進学や修学をあきらめなくてすむように,特に母子家庭,父子家庭への子育て支援策を拡充したいと思っています。

 なお,知事に当選した川勝氏は,6月24日付け静岡新聞での政策アンケート(教育文化)で次のように回答しています。
 「教育政策は私の優先課題です。学校で学び,現場から学び,いかによく生きるか,心を豊かにする実学を実践します。教育委員会改革,少人数学級や外国人の子どもの教育のための教育制度改革,海外での教員研修など学校教育の国際化にも取り組みます。また,芸術文化に触れる機会を増やし,地域の現場である農・山・林・産業現場を体験し,経済活動を実感する教育を実践することで地域愛と自然を畏敬する心を育みます。」
 もともと石川県政のブレーンとして活躍した人物であり,フリー百科事典「ウィキペディア」では新自由主義の経済学者,歴史学者であると紹介されています。