07年度静岡県教育長交渉速報 

07年10月31日
 10月31日県教育長交渉がありました。その際のおよそのやり取りを報告します。尚、この交渉時間は30分。教育長からの回答も入るので、あっという間に終わってしまいます。言い足りないまま、進行の教育総務課参事が立ち上がって、「時間が来ましたから」となるのが例年のことです。

★全教静岡執行委員長
 はじめに、教育現場をうんと大事にした施策をお願いしたい。今日の新聞にも、
中教審が「ゆとり」を見直し云々の記事が出ていたが、本当に学校現場の声を聞いているのか。現場が抜かれている。
 人不足なのに、(副校長、主幹教諭、指導教諭などの)管理のための人間はいらない。一緒に働ける、普通の先生がほしい。
 是非、今日いい回答を出してほしい。

■県教育長  
 組合とは誠実に話し合っていきたい。現場が大事という指摘をいただいたが、わたしも教育行政にたずさわって、国、文科省と関わる場面も増えた。国は本当に教育現場のことを分かっているの?と思う場面が多々ある。
 その点で、今年静岡県文科省のキャリア官僚が学校現場に入った。今まで、行政に来ただけだった。ある時、文科省に行ったとき、現場のことを知ってよ、キャリア官僚を学校現場に出してよ、と要請した。すると文科省の審議官が、やらせてくれるのか、と言ってくれて、是非来てほしいと言ったら、今年実現した。教壇に立って、生徒と接触することはどういうことか、分かってほしいと言った。わたしなりに努力していることを分かってほしい。文科省も多少は現場のことに目を向けてきたと思う。

県教育長(全教静岡の重点要求に対する)回答

【「教職員の勤務、実態に見合った給与を」に対して】 

■県教育長  県人事委員会の勧告を尊重し、検討する。

【「副校長など新しい職と給与体系の新設を行わないこと」に対して】
■県教育長  国や他県の状況を踏まえ、本件の在り方を検討している。
   ※ 要請行動の際には、教育総務課主席管理主事は、「こちらから研究・制度化しないと、新しい職の部分の予算が他県に持って行かれる。」と導入したそうだった。

【「教職員評価制度」 
■県教育長  全校試行実施している。その成果と課題を把握し、調査研究委員会で対応、改善策を慎重に検討したい。組合などとの『意見を聴く会』は引き続き実施したい。

【「臨時教職員の待遇改善を」に対して】
■県教育長  職務の困難性を考慮する。一般職員(行政の臨時職員)と同じではない。他県状況を調査する。要望を受け、条例・規則も考えたい。勤務についても校長会等での指導を通して、厳正な管理に努めたい。勤務条件も考慮したい。
   ※ 従来、「行政の臨時職員との整合性」で濁してきたが、臨時教職員の特        殊性(大変さ、正規と同じ仕事をしている)について触れたことは、県人事委     員会の「口頭勧告」についで、一定の前進かも? 

【「30人学級の実現を」に対して】
■県教育長  中1支援プログラムについては、研究を継続し今後の方向を検討したい。小学校低学年の在り方については、?し継続して行いたい。国や他県の状況を踏まえ、今後方向性を研究したい。

【「特別支援教育のための教員配置など体制づくりを」に対して】
■県教育長  体制づくりをしている。昨年度167人、今年度164人の特別支援員(非常勤職員)を配置した。コーディネーターや教員の研修会などを開催し、充実を図っている。

【「部活動指導の改善を」に対して】
■県教育長  今後、国の動向を踏まえ、研究したい。

【「勤務時間(管理)の適正化を」に対して】
■県教育長  改善のための検討を進めている。職員団体(組合など)のご意見をうかがう。厚労省通知・文科省通知の趣旨が生かされるよう市町に働きかける。

【「養教代替の派遣を」に対して】
■県教育長  (養護教諭が学校を留守にするときの)代替派遣は困難。養護教諭の増員は、国の基準からも、また県単独措置は財政状況からも困難。(現行一部で実施の)近隣校行事等サポート体制は一応の評価を受けている。

【「行き過ぎた保護者に対する対応策を」に対して】
■県教育長  理不尽な保護者への対応は、先ず管理職が行うべきだが、県教委もこの10月から顧問弁護士をおき、県教委(本庁)や教育事務所に相談員を配置した。

回答後のやり取り

【教職員評価】
★組合  この試行している「評価」そのものが問題。来年度以降どうするつもりか。
■県教育長  みなさんは評価制度のマイナス部分を言うが、わたしはプラスの面もあると思っている。私の若いとき、校長室の入って話をすることなんて皆無だった。管理職との人間関係をつくる機会だ。教職員は、授業中心で個人プレーが多いが、全体に目を向けるや組織として動く観点も大事だ。個人目標を設定し面接を受けることは、プラスとしての受けとめられる。
 ただ、時間的な問題や管理職が十分な評価ができるかなど問題は多いと思う。
 また給料に結びつくという心配も分かる。当面、今の段階ではそれはまだまだ先のこと。慎重に行う。今は、これ以上言えない。
★組合   横のつながりが崩されるのが一番心配。細かく項目を出して、将来給料にリンクさせようとしていることははっきりしている。
 「学校評価」の文科省パンフレットも、職員の机にぱっと配られているだけ。中学現場では、生徒指導でそんなこと考えている余裕はない、と。静岡市の評価試行でも、校長が「いいよ、だいたいに書いとけば」程度。こんなんで成果発表と言っても期待できない。

【「30人学級(少人数学級)】
★組合   少人数学級実現で他県はがんばっている。なぜ静岡県はできないのか。■県教委  本県は、少人数学級と「少人数授業」で、どちらがどうか研究中。小1支援員でも「教室に2人の先生がいる」と一定の評価がある。
★組合  中1だけという静岡県のような単独学年実施は、全国的に少数。全国的には複数学年で実施している。長野県では、小1から小4までは県単独で実施し、小5からは市町村と共同で少人数学級を行っている。静岡県との大きな違いを感じる。
 小1支援についての保護者向けアンケートは、取り方がおかしい。1クラス2人の先生と少人数学級とどちらがいいでしょうか?の設問では、1クラスに複数いた方がいいと答える保護者も多い。支援員がいることに越したことはないが、1日4時間勤務、取り立てはできない、免許は不要などのことが知らされていない。
 他県の状況と言うが、県内でも磐田市(教育特区)で実施し、浜松市でも来年度数校から試行するなど動きがある。「学力テスト」の結果でも、少人数学級の成果が言われていた。
 1年の学級担任、5クラスで33人、支援員は来ていない。1年生は、一人ずつ見てやんないとできない。授業中33人分全員見て回って、宿題も…、すごく時間が(手間も)かかる。一人ひとりを見てあげて、子どもが伸びる。(30人数学級になったら、6クラス27〜28人!になるよ。)
 小学校低学年とは、小2も考えているのか。
■県教委  クラスの状況で、小1支援員を小2にも回すという弾力的運用ができるようになっている。実際にやっている学校もある。
■県教育長  浜松など、実態を調査し、実際どういう風にやっていくか、予算取りの調査をしている。他県、いろいろやっている。

【勤務改善】
★組合   勤務状況調査をし、結果に基づいて「勤務時間の適正化」通知を出したが、週1日定時退勤日を打ち出しただけ。しかも、「遅くともその日には19時30分には帰りましょう」などと教頭が言う状況。
■県教育長   えっ、定時退勤で、19時半!?それはおかしい。
★組合   それが現実。形だけになっている。
■県教委  定時退庁日が浸透していないことは聞いている。1回調べる。当面「割り振り」で改善できないか今検討している。
★組合  校長は帰るのは早い。県教委から指示を出しているのか。
■県教育長  そんな指示はしていない。
 他の教職員が残っているから早く帰るのは申し訳ない、と先生方が考えるのは分かる。今年、24時間の業務内容調査(県教委による『学校を取り巻く実態状況調査』の一環。静岡市でも数校抽出されている。)を既に2回行っている。実態は浮き彫りになってきている。
 改善策を、外部有識者にも入ってもらってつくる。(つくった。?)先生の負担を解消するためにどうするか、アイデアを出してもらう。
 (教職員の勤務改善のための)予算を取るには、今こそチャンスだと思っている。
■県教委  県立学校は、勤務時間の「自己申告記録」を導入予定だ。教職員の服務監督権のある市町教委に対しても、勤務時間管理について言うつもりだ。
   ※ 静岡市教委も08年4月1日から「勤務時間自己申告記録」を実施する予定    でいるようです。
★組合  厚生労働省の通知や文科省の通知(働き過ぎをなくす、職員の勤務時間の適正化・サービス残業をさせない、職員の健康管理などを校長がしっかり行うなど)をしっかり実行させることが、県教委にとって大事なはずだ。それなのに、またまた「管理主事訪問に新たに指導案を出す」などの余分な仕事をつけ加えるなんてことを、県教委がするのがおかしい。
■県教育長 その点は、(仕事の精選など)指示します。(と言って、隣の義務教育課長の肩を叩く。管理主事訪問に今までなかった指導案を、と言ったのは義務教育課から。)
★組合  改善を期待します。
【「時間」切れ】

 ※ え〜っ、これで終わり?と思われる方も多いでしょうね。でも、30分なんです。しかも「回答」は口頭なので、記録が、もう〜大変。?はそのため。後で確認しますが。交渉している方も消化不良で〜す。ご意見を。