07第1波静岡県教委要請行動・①教育総務課

 10月15日(月)県教委要請行動の第1波が行われました。その際のやり取りを紹介します。

はじめは、教育総務課です。

【教職員評価について】

★組合  現場では、何をどう書いていいかわからない、という声が上がっている。3回書き直しをさせられて、自信が持てなくなったと言う先生もいる。管理職も「よくわからない」と言う。
 個人目標→面接→指導という流れだが、その際「目標を具体的に」と言われる。しかし3カ月くらいなら分かるが、1年間を見通して具体的な目標をと言われても、担任する(担当する)子どもたちのことは、5月では未知数。何回も書き直しをさせられている。教頭が「7月末には最終のシートを出してほしい」と言っていたところをみると、7月になっても書き直しをさせられていた人がいたということ。これでは、実践に結びつかない。
 6、7月にシートを出して、9、10月にはもう「中間総括」こんな短期間で果たして評価ができるのか。無理がある。管理職(評価者)がちゃんと見てくれるか不安だ。ましてこの多忙化の中で評価ができるものなのか疑問である。
 静岡市では後期10月から「自己目標シート」だけ試行中である。現場で一番心配しているのは、将来的に給料や昇給にリンクするかどうかということ。市教委や校長はリンクするかどうか明言しない。もし給料にリンクして、みんな評価が良くなったら、みんな昇給することになり、予算的に無理だろう。そうなると、校長にプレッシャーがかかる。校長がみんなの評価を良しとすると、当局からきっと、本当にみんないいのか?と校長は言われるだろう。そうなれば、職場で「弱い人」が悪い評価にさせられることが予想される。職員間では、職場でのいじめも出るのではないかなどの不安の声があがっている。
 面接では、校長から励ましではなく、「今年、何やる?」と脅しのような聞き方をされた。校長の圧力に、落ち込んだり精神的にショックを感じたりしている人がいる。
 教職員評価制度そのものの在り方が問題。民間では営業利益とかで評価できる場合もあるだろう。しかし学校現場は違う。例えば、生徒指導主任として、不登校を克服させた例がある。だがそれは、学年主任や担任と協力した成果であり、共同の成果だ。それを個人の評価にしてしまったらおかしい。そんな評価をしていったらこれからの若い人に悪影響が出る。実際に民間では、技術を同僚に教えないなどの弊害が起こっているではないか。
■県教委   状況を伝えてくれてありがたい。06年21校で試行、07年の今年全校で(政令市の静岡市を除く)試行中。県教委の行った試行校アンケートでは、65%の職員が評価は「役だった」と回答している。また、06年から07年で制度的な改善もした。
 ただ、試行によって、評価の目的や流れが十分浸透しているとは、考えていない。「書き直し」についても、個人によって目標が低い、高いということがある。評価者研修では、目標は努力して可能なものを設定するというマニュアルの視点を説明している。校長も真剣に取り組んでいるが、運用の仕方はまだまだ改善の余地がある。評価の際の「公平性」「客観性」など校長の「評価力」について研修を深めたい。「脅し」のようだともあったが、これから情報を把握した段階で検討したい。
目的は、「資質向上」「学校活性化」
 給料へのリンクについては、試行中は考えていない。ただ、「教員人事管理システム研究協力者会議」の「答申」にも、将来的には給料に反映することも検討するとある。しかし、一方的に進めることはしない。意見を聴いてやっていきたい。昨年度と同じような日程で、年末には職員団体(組合)の意見を聴く会も開きたい。処遇がからむ(給料リンクなど)までは「意見を聴く会」の形で行きたい。
 来年度、どうするか(本格的実施か)は、全校試行の中間総括が出ていないので、状況把握段階。成果、情報を整理して年内か年明けには来年度の方針を出す予定でいる。
 多忙解消とのからみでは、教育総務課だけでなく各課で、(仕事で)整理していくものは、(整理)していきたい。※後段の義務教育課要請で分かったことですが、県教委は07年1月から各課の人事班だけでなく指導班も交えて、「勤務改善」の検討会議を進めているとのこと。期待ができるでしょうか。年度内には一つの結論が出るようなことも言っていますが。 政令市の静岡市浜松市については、担当者同士の「すりあわせ」をしている。基本は「自己評価」と「職務遂行評価」で5段階で評価することでは一致している。しかし静岡市のように独自性はある程度出せると思う。
★組合   静岡市の「教職員評価」試行では、県教委よりも職員に負担のかからない方法を行うと言っている。しかし県教委に歩調を合わせる旨の回答もしている。 今、静岡市教委の試行では、次のような問題が出ている。①提出した個人の「自己目標シート」に、過去の経歴に関わる校長メモがあった。そういう評価に使われるのか。②静岡市教委の評価マニュアルを逸脱した(「目標は4つ以内」と言うのに、5つの目標を要求、しかも項目ごと重点を職員が選択するはずが、校長によってはじめから重点が決められていた、面接に教頭と教務主任も当たる 等)違う方法を指示した校長が出ている。③「書き直し」も、「こんなシートでは校長に見せられない」と事前に教頭が突っ返した、など。現場で管理職が恣意的に扱う例もある。 ※後日、ある学校で、評価の面接が「人事(異動)」の面接に使われる例も明らかになりました。
 「意見を聴く会」をしっかり持ってほしい。
■県教委     静岡市の「簡略化」については、参考にできるところは参考にしたい。
 評価制度は、「性格」や「潜在能力」は外して、実際の「職務行動」、事実に即して評価するように言っている。ルールの運用上、幅が出てくる。試行の中で、運用について整理したい。

【超過勤務の実態改善について・コーチングスタッフの問題も】

★組合    3/30県教委、4/18浜松市教委、4/27静岡市教委が、「勤務時間管理の適正化」について通知を出した。それによって現場で変わったのは「定時退庁日」の設定だけで、そのほかは見えない。
 コーチングスタッフ(※今年度9千万の予算で3年目導入)の授業研が入り、校内研の予定が崩れた。(県教委はコーチングスタッフ制度を3年目の今年も継続している。まだやってるんだ。しかも、ひどくなっている。) 指導案を丁寧にと言われ、授業者は時間をかなりとられる。「時間確保」と言いながら、午前中指導の時間は担任の不在で授業時間確保できない。
 3月に退職予定の人が1月にコーチングスタッフの授業をすることになっている例もある。
 管理主事訪問で、今までは単元名・目標等で指導案までは提出はいらなかった。ところが突然、教育事務所からA4で1枚以内という指示が来た。たかが1枚というかもしれないが、苦労して作って赤ペンチェックされて、大変だ。人を管理するのに指導案が必要なのか。
 新採、単級の学校に配属されて毎週1回指導者が来て、指導案を書いてその後反省、分掌もあって、でも分からないことも多くて、ノイローゼになりかかっている。
■ 県教委   コーチングスタッフの指導案、簡素化を考えていた。そんな状況は知らなかった。管理主事の「指導案」の件は背景を聞いておきたい。新採の件はよく分かる。今案はないが。新採の件は全国的にも報告されているので、考えなきゃ。   ※ 一昨年磐田市で、また東京でも新採の自殺事件が起こりました。いずれも公務災害が認められず、訴えています。ある県では新採200余人中数人が精神疾患、2人が退職となっている例もあります。
★ 組合   新採研もまた、5年研でも忙しい。今までよりも仕事が増えることはあっても、減ることがないのが現状だ。例えば、担任を外すとか、人を増やして対応するだとかすべきだと思う。研修の充実というが、寝る暇もなくて能力を上げろでは、大変だ。ノイローゼ、自殺もこれでは当たり前だ。
 1クラス38人〜39人の学校で、その自体が過密労働だ。特別支援の必要な子が1割はいると思う。実際診断されている子が2人いるクラスも当たり前だ。そこへ「個別指導計画」の作成を言われる。それに38人の指導なんて、不可能に近い。また、特別支援教育コーディネーターになると、担任と面談などしなくてはならず、自分が担任(担当)している教室の教材研究などできず、自分の時間がない。
 ある2年目の人は、分掌があてがわれ、仕事が増えた。厚生部担当となったが、職員旅行、バザー担当、成績…と重なって発熱し、自分の企画した旅行に行けなかったケースもある。
 コーチングスタッフの授業では、まだやっていない人は誰?とさがすのが現状。いったい何のためのコーチングスタッフか!?
 コーチングスタッフが来るとなると、一部に負担がかからないように、校内研の一環としてやるようになる。そんなのは当たり前だ。
 コーチングスタッフは、初めは「指導案」などなかった。流れが分かればいいということだった。それを、A4 1枚になるなんて改善ではない。+(増える)があって、−(減る)がない。
■県教委    仕事のマイナス(減らす)、なんかできないか、「割り振り」とか考えているが、制度構築より、(改善は)管理行政的、指導部分かなと思う。県立と市町立とは全然違う。整理しないといけないと思う。県立学校(高校、養護学校等)は、管理主事訪問はないし、1校の人数も100人以上いたりして、市町立とは違うので、難しい。※ 県教委教育総務課には、県立学校出身職員が多い。

【「勤務時間管理の適正化」通知について】

★組合    適正化通知について、今後どうするか。
■県教委   とりあえず調査した。今後どう設定するか。意識をどうするか。?「割り振り」など現実的な対応を考えているが…。?
★組合    労働安全衛生法(労安法)は1972年に労働基準法から分かれて施行された。それからの間、学校現場では労安法はまともに生かされてこなかった。19995年に国会で、「学校現場にも適用される」と労働省と文部省(当時)官僚が答弁してからも、生かされてこなかった。「制度構築」云々と言うが、その辺りの怠慢が今に至っている。そこの反省がない。
 「勤務時間管理の適正化」通知では、沼津のある学校では定時退庁について当初「19時30分には帰りましょう」などと文書が出た。静岡市でも「17時30分には帰ろう」などと言われたところもあった。笑い事ではない。現場で、管理職も職員の大変さ、仕事の多さが分かっているから、そうなったとも言える。管理職も追い込まれていると思う。  ※ もちろん、現場の大変さは分かるが、何も手を打たない管理職の問題も大きい。本気になって考えようとしない管理職が多いのが分かる。校長などは、職員が時間外で必死で働いているのに、平気で5時過ぎに帰る事が多いのも事実です。

【部活動の問題】

★組合   あるスポーツで、教員としても秀でた能力を持っている教員が、協会の役員もやっている。10月6日〜8日の3連休も新人戦で役員の仕事をやっていた。さすがに翌日休んだ。知らない人は、「病気だったの?」と心配したが、知っている人は分かっていた。その教員は、「金よりも休みがほしい」と言っている。9月10月で言うと、21日の休みがあるが、その内15日は部活、役員でつぶれる。制度的になんとかする方向を出してほしい。
 金でなく休みと言うが、当面手当面で何とかできないか?週休日1日最高でも2000円しか出ない。最低賃金にも遠く及ばない。こういう実情を伝えたら、県教委がよく言う「県民」だって、手当を上げても文句言わないと思う。
 このことについては、組合から毎年言っていることだ。最高2000円についても「特殊勤務手当」の中の「特殊業務手当」と言っているが、部活は「勤務」ではないと言っておきながら、「勤務」「業務」となっている。矛盾している。
 「割り振り」でも、認められるのは中体連の県大会レベルだけ。
■県教委    法律にないので、現状ではしかたがない。県独自ではできない。国レベルの問題になる。
★組合    そこをなんとかしてほしいと、もう何年も言っていることだ。
※ 県人事委員会要請でも言いましたが、週休日に8時間部活に出たとすると、特殊業務手当が2000円で時給は250円になります。これは静岡県最低賃金にも違反し、高校生のアルバイト時給の半分にもなりません。休日出勤の割り増しを考えたら、3万円以上の不払い労働が生じていることになります。これが民間であったら、労働基準監督署からのお達しがあり、不払い賃金を払わなければなりません。払わなければ罰則処分を課されることになります。教職公務員だからいいということにはなりません。

現場の実情など、具体的にお知らせください。22日(月)にも要請します。
尚、10/15と10/18日義務教育課要請行動について、後日お知らせします。