全教静岡の意見  

 ■ 8月1日に、静岡県教委主催の『教職員評価制度について職員団体から意見を聴く会』が開かれました。全教静岡からは、書記長と東部・中部・西部各教組が参加しました。(4人の人数制限有り)
※他に静教組、高教組、ユニオン、がくろうの4団体が参加。該当組合員の方は所属の組合に、何をどう主張したのか聞いてください。聞く義務と権利があります。

総括論・・・全教静岡書記長  これを受けて各単組から試行の実態報告の予定であったが、5分の意見発表のため、先ず実態から話した。
※ 「意見を聴く」と言いながら、1団体わずか5分!昨年度ですら、10分以上だった。5分で十分な意見を言えるはずがない。聞く気がないのか県教委!

1 各単組からの実態報告

○ 西部 N
   超多忙な状況下で行われている。・骨折しても出勤してから病院へ。その後入院手術した方もいるほど!
・立ち話で自己評価を管理職が確認 → 子どもへの悪影響が心配
○ 中部 W
 ・11学級の学校例 初年度面談トップバッター 
   1回目予定日延期 2回目予定日延期 3回目7/4やっと実施 全員が終了するのに8週間もかかった。この後すぐに、中間面談が始まり、・・・・とこんなふうに1年中この 評価制度に追われていく感じだ。
・校長の気になる言動  脅し的言動 「そんなことやると評価に響くぞ」
・教頭の時数が減った  TTへ(出なくても困らない) 副校長的だ
○東部 I
   本校では2年目に入り、評価制度がオープンに行われていない印象をもつ
  ・1年間試行をやってきて、それを含めて教職員で話し合った時間はたったの2時間以内。   後は秘密裏に進められている感じがする。
・教頭が授業評価のために徹底した授業観察を行うようになった。

県教委への質問2点 全教静岡書記長

①県教委の昨年度試行校アンケート結果について、県教委の本音を聞きたい
県教委回答 高いな(64%)とは思った。協力校がしっかりやってくれた結果だと思う。
   良かったと思ったが、わからないと回答した割合も多くまだ伝わっていないなと思った。(10%)

②(ユニオン指摘の)「これまでの教員文化とは異なるところに、教員評価がある。従来の教員文化に立っていては、この評価は成り立たない」に対するコメントを聞きたい。     県教委回答なし

※私たちが積み重ねてきたものを「教員文化」というなら、
 例えば、宮城県教組では次のように聞いてみた。
「教員の力量向上のために何が必要か?」
それに対して、多数の教員が  ①日々の授業実践 ②毎日の教材研究 ③自主的な研修の機会確保 ④同僚との語らい をあげている。
 その事実こそが、私たちが獲得してきた「教員文化」=教育の事実である。県教委が先ず手がけなくてはならないことはここにあるはずだ。

事前に用意し、主張しようとしていた全教静岡の意見【総論】

1 全校試行を強行したことに抗議する・・・・主役は私たち 全組合が反対したはずだ!

 評価制度の受け止めには組合間で違いがあることは事実である。しかし、昨年度の協力校試行に続いて、本年度全校試行を実施することに関しては、全組合が拙速すぎると反対した。しかし県教委は、「意見を聴いて参考にするのは教職員組合だけではない。」と私たちの主張を事実上はねのけ、本年4月からの全校試行を断行した。

 改めて、この評価制度の主役は、私たち静岡県の教職員であることを確認して頂きたい。私たちが行う授業の主役が子どもたちであるというのと全く同じで、この評価制度の主役は私たち教職員である。そこのところをきちんと認識されていないのではないかと思う。管理側がいくらよいものをつくることができたからと喜んでも、主役の一人一人が冷めていてはこの制度は死んでしまう。幅広い層から意見を聴くことはよいことであるが、しかし、主役が教職員であることを軽んじてこの制度は存在しない。

2 協力校職員へのアンケート結果をどう見るか

 アンケート結果が出て、県教委は胸をなで下ろしたであろう。私たちは「あり得ない結果だ」と唖然とした。私が県の担当者なら疑ってみる。
① 制度を評価する数値の高さ
「目標管理手法による評価が資質能力の向上につながる」と答えている者が64%を示しているようにこの制度の2つの目的に関するプラス評価が異常なほどの高さであること。全国各地で行われている同種のアンケートで、過半数を越える者がこの評価制度の価値を認めているケースなど私たちは知らないからである。
ア 平成16年 大阪府教育委員会調査 18000人対象

・資質向上に役立つ    管理職33.5%   一般教職員 13.3%
・適正な業績評価ができる 管理職27.4% 一般教職員  8.1%
・適正な能力評価ができる 管理職39.1% 一般教職員 11.2%

イ 平成18年6月 岐阜 組合 9.0%

ウ 陸奥新報デーリー東北新聞社東奥日報  平成19年2月23日 青森県
 平成19年度から本格実施が見込まれていた新たな・・・・・教職員評価制度の改善充実に関する調査検討委員会は、「試行を1年延ばすべき」との意見で合意した。
  ・趣旨が理解できた 管理職85.5% 一般教職員55.6%
・資質向上 管理職47.5% 一般教職員21.2%
※制度そのもを疑問視する声が少なくなかった
エ 宮城県教組 2337人
・資質向上 22.8%    ・学校の活性化 12.2%  ・導入 賛成3.9%
オ 長崎高 9%
カ 島根県教組 24%

② 静岡県教委のアンケートでは、なにゆえこれほど高い数字が出てきたのか

 県の進める評価制度が、そのねらいに合致したものであり、青森、宮城、岐阜、大阪などで行ってきているものと明確な相違があるのか。そう考えたいところだが、そうは言い切れないだろうと思う。

 ここで思い出すのは、コーチングスタッフ制度への支持率100%アンケートである。あり得ない数字だと私たちは県教委に問うた。静岡県の教職員は、その県民性からして極めてまじめで常識的かつ素直である。コーチンスタッフアンケートでも、提出することを考えて自己規制してしまうからあのような結果が出たんだと私たちは主張した。県教委が学校の本当の実態を把握したいと思ったとき、その調査方法はそうした背景を十分に検討したものでなければ本音が出てこないと主張もしてきた。

 今回の調査は学校単位で集められて提出された。どこにどのような規制をしてしまうような要因があったのかつかめていないが、一般的には文字を見れば誰のものか教頭なら大方わかってしまう。自分が特定される不安がわずかでもあれば、教職員は自己規制を働かせるのではないか。さらに現在の管理体制の中では、教職員は、望ましい姿の後ろ側に本音を隠してしまう傾向が強いのではないか。マイナス思考の考えをしてはいけないんだと。今回仮に、「あなたの本当の気持ちを答えてください。そうでないとこのアンケートは意味がありません。あなたに不利益がかかることもありません。」と冒頭に書いてあったなら、工夫と配慮があったなら、数字は違って出ただろうと思う。それこそが県教委が知りたい数字ではないのかと考える、「」つき回答では困るだろう。

③ 教職員の本来的な願いと、それを打ち壊す制度がもつ危険性が見えてくる

 宮城の調査にこういう質問があった。「力量向上のために何が必要か」 教職員の回答は次の4つに絞られた。
 ①日々の授業実践 ②毎日の教材研究 ③自主的な研修の機会確保 ④同僚との語らい

 非常によくわかる。 資質向上のために、「同僚との語らい」が上げられていることに注目したい。本県のアンケートからもそれに近いものが表れている。

◇「評価制度を自分や学校にとって役立つものにするために大切だと思う項目」
  ア 評価者との意思疎通59% イ 同僚との協働的なかかわり40% 
  ウ 制度の改善工夫49%
◇また、「評価制度を支える研修メニューとして必要だと思われる研修について」
  ア 教科等の指導力、職務能力の向上を目指す研修 78% 圧倒的数値

 制度そのものへの関心は薄い。「自分自身の実力を上げたい、よい教育を実践したい」と願うだけだという教師としての素直な願いが表れている。静岡県の教職員の仲間は健全だなと私たちは思う。これを悪用してはならない。他者評価を制度化し、それを賃金という形で競わせることはこの望ましい教師の姿を歪めてしまうことになることは間違いない。それを目指した試行なら直ちにやめるべきである。

3  「教育再生」の方向は県教委の良識の外

4月23日文科省が第7回教育再生会議に提出した文書
タイトルは「教育三法案の持つ意義」
組織としての学校の力を強化します
○ 子どもたちが集い、学ぶ場である学校は、保護者や地域社会の期待にしっかりと応えうることが必要です。
○ しかし現実には、教職員組合が、「民主的な学校づくり」の名のもとに、いじめ問題への対応など学校にとって大切な事柄を、教育委員会や校長の指示ではなく、職員会議で処理してしまっています。リーダーシップを発揮すべき校長先生が、逆に孤立させられるといった不適切な学校現場の実態は正さねばなりません。
● 学校現場には新米の先生も経験豊富な先生もみな平等といった風潮があります。先輩の先生が経験の浅い先生を指導することなどを通じて、先生の指導力を高めていくことは、一般の職場では常識です。
● このため、学校に副校長や主幹教諭、指導教諭といった新しい職を置くことにより、いわゆる「なべぶた」型組織を改め、校長先生を中心に、各教員が適切な役割分担と協力の下で、子どもたちと向き合い、保護者や地域社会の期待に応えられることを目指します。
● 一方で、やる気、意欲のある先生方の給料などの処遇の改善、事務負担を軽くする配置や措置により、やりがいのある職場環境を創り、優秀な先生が集まりやすくします。


「組織としての学校の活性化」が盛んに聴かれるようになった。平たく言えば、この文科省の文書通りなんだと思う。学校改革とは、「上から下へ」「高いところから低いところへ」
 今日県教委が汗水流して作り上げようとしている姿勢については一定評価したい。しかし作り上げられていく将来がこれだと知ると、このまま進めていいのだろうかと思いませんか!!

4 最後に、成果主義は国民の多数から否定されている

6月23日 NHK討論番組:日本の、これから  
「納得していますか?あなたの働き方」
成果主義はやる気につながるかどうか およそ10000人の視聴者が回答した。
   結果は、 はい17%  いいえ83%

国民の中で成果主義はその意義を否定されている。なのにこれから公務は、教育現場は、突っ込んで行くのか。
 「成果主義を進めていくと、ほうびに目が向くようになる。そして仕事自体の面白さに目が向かなくなる。」という発言があった。このような教師が増えないという根拠はない。


…ご意見をください。