静岡市教組が、市内の校長へ「申し入れ」送る

年度替わりに当たって

2007年3月9日
静岡市立小中学校 校長 様
                                         静岡市職員組合          委員長 長澤 裕

年度替わりを迎えて配慮していただきたいこと(申し入れ)

 日頃、子どもや教職員が安心して過ごすことができる環境を整えようと奮闘されているだろうことに敬意を表します。貴職には、「そのようなことは、管理職として当然行っている」と返されそうですが、組合として年度替わりに当たって是非配慮していただきたいことを申し入れさせていただきます。

 さて、文科省の調査では、2005年度全国の教職員の精神性疾患による休職者は4178人、病気休職者の59.5%を占め、この10年間で3倍強の増加となっています。病気休職者も10年間で2倍近くになっています。静岡市でも06年5月1日時点で休職者23名、内精神疾患10名と同様な傾向が見られることは、市教委も認めるところです。
 同じ文科省の昨年7月の勤務実態調査では、平日平均勤務時間数は、1日10時間58分、持ち帰り仕事が35分、1カ月にすると約80時間の時間外勤務をしていることが明らかにされました。これは過労死ラインに相当する異常な数字です。

 静岡市教委による6月の「勤務状況調査」でも、小学校で時間外1時間74%、中学校に至っては2時間後に56%もの教職員が残業をしている実態が明らかにされました。調査1週間で1日でも持ち帰り仕事をした教職員が80%を超えていたのも驚きの結果です。休憩時間が「あまり・全く取れなかった」教職員が85%以上もいたことも無視できません。(尚、学校現場では、例え職員室で「休憩」していたとしても、実質「待機時間」になっていることは、貴職もご承知のことと思います。)休日出勤の数字や、調査にはない始業時刻前の「早出」の時間、自宅にまで保護者や子どもから電話が入ることなどを考えると、静岡市の教職員が朝から晩まで、仕事から解放されず休まることのない生活を強いられていることがわかります。

教職員が健康で安心して働くことのできる職場環境づくりは、管理職の職務の一つとして当然のことではありますが、上記のような事態の中では、従前以上に意識的かつ重点的に取り組むことが重要になってきていると思います。
 つきましては、年度替わりに当たって、下記の点で十分な対応をしていただくよう申し入れます。

1 静岡市教育委員会と組合との確認事項である4月当初の「学外勤務」について配慮すること。


2 4月当初の職員会議等において、職員に対し次のことを説明すること。
    ① 勤務時間、休憩・休息時間 ② 特別休暇の内容と取得促進 ③ 教職員と公務災害 ④ 勤務時間の割振り等の制度と計画(平成13年県教委よりの「Q&A」参照)


3 校長が「衛生推進者」に任命されており、「労働災害の防止のための最低基準を守るだけでなく、 快適な職場環境の実現と労働条件の改善を通じて職場における労働者の安全と健康を確保するよう にしなければならない」(労安法3条)という法的責務を負っていることを職員の前で表明(「表明」 する法的義務があります。)し、かつ誠実にその職責を実行すること。


4 様々な学校外からの意見や要望・要請等に対して、先ず校長自らが子どもや教職員の状況や意見 を把握しつつ対応し、子どもや教職員の負担が増したり、一部教職員のみが責められたりすること のないようにすること。


5 メンタルヘルス、セクハラ、パワハラについては、校長が率先して研修を深め(「文科省4月3日 通達」、11月に市教委から配付された文書参照)、教職員の立場に立った対応をすること。  


6 校内人事については、必要な学年・分掌については早めに知らせる、希望外については丁寧な説 明をする、負担過重な職員の場合は人事発表後においても改善をはかる、などの配慮をすること。


7 教職員評価制度など現場を無視した一連の「教育改革」の拙速な導入に反対すること。

以上

※ 要求するだけでなく、どんな職場にしていくことができるか考えて、教職員がまとまって動いていく必要がありますね。「小さな職場」でも問題提起していきましょう。倒れる前に!ぶっそうな言い方ですが…、深刻でもあります。最近、職場の同僚が「俺、過労死するかも…」と、“マジに”こぼしていました。