06年度養護教諭要求書と07年1/29交渉報告

2007年1月15日静岡県教育委員会 教育長 遠藤 亮平 様
     全静岡教職員組合 執行委員長 齋藤 達雄

2006年度 養護教諭の勤務条件の改善に関する要求書

 日頃は、私たち養護教諭や学校保健の充実と発展のためにご尽力いただきありがとうございます。
 近年、子どもたちが犠牲になる事件、いじめを苦にした自殺などの事件の増加に心が痛む毎日です。小中学校の不登校が12万人を超えたと報告される中、この中には含まれない保健室、別室登校も依然として数多くあります。人間関係をうまく結べない子どもたち、アレルギー疾患の増加、発達障害、メディアによる心身の健康への悪影響など課題も山積しています。このような課題山積の中で、私たち養護教諭の現場からの当面の声として、下記の点について強く要求いたします。
 子どもたちの健やかな発達を保障し、私たち養護教諭も健康でいきいきと勤務ができますよう、さらにご尽力いただきますようお願いします。

1 養護教諭の配置について
(1) 小学校18学級以上、中学校15学級以上のすべての学校に複数配置すること。当面、小学校で801人、中学校で751人以上の学校には来年度の4月より複数配置すること。
     回答 国の基準に基づき適正に行っている。平成18年度複数兼務校は41校、小学校37校、中学校4校。2学級以下は「配当人員」がないが、若干調整して配当できるようにしている。

(2) 複数の場合も臨時でなく、正規の養護教諭の配置をすること。
     回答 児童生徒数の変動を考慮する必要がある。臨時任用で対応せざるを得ないのが、実状。
     組合 臨時対応が適正とは思っていない、ということか?5/1に配当するとあって、実際に配当されたのが10月になってからということがあった。一番忙しい4月5月に来てほしい。
     県教委 5/1国の基準日。4月確定できない。4月に採用して5月に辞めてくれとは言えない。また人材不足でもある。

(3) 学校行事等における養護教諭不在時に、複数配置校の養護教諭の近隣校への兼務事業を廃止すること。看護士雇い上げ等の予算措置をとること。
     回答 ①昨年度成果が上がっていると聞いている。兼務校の児童生徒、教職員、保護者に安心感が得られている。②近隣校との連携が有効であった。指定校の数や在り方に検討を加えながら、継続の方向で進めたい。
     組合 近隣校で有効と言うが、兼務するのは正規。組合のアンケートでも複数配置校自体が大変。本校で手一杯なのが現実。そういう大規模校に複数配置されている。なのになぜよその学校へ行かなければならないのか、という声が届いている。明日来てほしいと言われる場合もある。午後に内科健診が入っているのに午前に兼務校に、だとか、インフルエンザ対応で大変なのによその学校へだとかの実態が上がっている。現場の状況を考えてほしい。
     県教委 派遣された学校が安心している。本務校の負担が大きいことは認識している。ただ、小中の情報交換ができるなど効果も大きい。     
     組合 日常的に小中の養護教諭は連絡を取り合っている。研修もしている。自校のマイナスを負ってまでやる必要があるのか。兼務校のマイナス部分大きい。
     県教委 要求があったので、やりくりして一つの策としてさぐった。要望としてはわかるが。
     組合 静岡市では看護士や退職養護教諭を頼んで、キャンプ等の時来てくれる。体調が悪い時も代替が来てくれるといい。代替者の費用をPTA費用でまかなっているのは、おかしい。県で予算化してほしい。子どもの命を守るのに、「兼務」はない。
(4) 小規模校の兼務を解消すること。
     回答 小規模校兼務は、国の基準に基づき配置している。基準未満の学校の児童生徒の健康に関わる重要な管理、指導を保障している。兼務者の過重負担にならないよう諸条件に十分配慮している。
2 労働条件について
(1) 子どもたちの心身に寄り添い、丸ごと受け止める養護教諭の仕事や学校保健活動は、教職員がバラバラにされてはできるものではない。その意味で「教職員評価制度」の導入を行わないこと。
     回答 学校にとって、一人職である養護教諭の仕事の意義は大変大きく、教職員評価制度の導入により、その職責が正しく評価され、組織の一員としての機能が高まるものと考えている。
     組合 専門でない校長がどう評価できるというのか?
(2) 健康診断の多忙な時期に、健診補助員やパート採用などの加配措置を行うこと。
     回答 現在の財政状況では県単独の措置は困難。
     組合 ということは、現在の状況が十分ではないと考えていることになる。上記いくつかのことと矛盾する。
(3) 養護教諭の妊娠時の負担軽減のための加配措置を行うこと。
     回答 妊娠時特別休暇制度を有効に活用いただきたい。
(4) 事務的業務の負担を軽減するため、書類の簡素化、見直しを図ること。
     回答 努力しているところ。他課からの配布物は当該課から…。(?)HPを利用させてもらっている。日本スポーツ振興センターの災害給付がオンラインに変わって2年、センターの名古屋支所からは評価を受けている。入力作業大変かもしれないが。書類の簡素化に努力する。
     組合 日本スポーツ振興センターが各県ごとであったのを、静岡県は名古屋支所管轄になった。同時に報告がオンライン化した。県毎の災害状況や数が出なくなったり、ダウンロードして事故報告を送ることになったり、現場は大変。中学校など1日10件報告などの実態がある。オンライン化は迷惑。PCが保健室にあるところ8割、ネットにつながっているところ6割の実態。しかも20分離れるとダウンロードが切れちゃう。子どもが来室したらほっとくわけにはいかない。自前でPCの勉強をしている人、PCがあかないので土日に出勤している人もいる。
     県教委 静岡県はオンライン使用90%以上。県によっては少ない県もある。
     組合 やらなくてもいいのなら、手書きでやりたい。静岡市は一度市にも出す。市教委の担当者がまとめている。125校分は大変だ。
(5) 宿泊行事引率については、養護教諭の過重負担を避け、疲労回復措置をきちんととらせるよう校長を指導すること。
     回答 勤務時間の適正管理については、本課より通知を出して指導している。
(6) 学校保健の充実と実践の蓄積のために、本人の希望なしに5年以内の人事異動はしないこと。
     回答 人事異動の希望は尊重するが、必ずしも本人の希望通りにいかないこともある。
     組合 「いかない」が多いので要求している。
(7) 濃厚感染の場である保健室で働く養護教諭の希望者に対して、インフルエンザ予防接種、B型肝炎ワクチンの予算措置を取ること。
     回答 県立校では予算措置していない。
(8) 就学時健康診断が、全て学校(養護教諭)に任されている実態を改善すること。
     回答 実施は県教委ではなく、市町が主体であり、適正に行っているものと考えている。
     組合 静岡市は学校任せ、養護教諭か任せ。他市町は保健所が行っているところが多い。
3 子どもの命を守り、健康発達を保障するために
(1) 健康診断時の健診器具のレンタル化や消毒の業者委託を図るための予算措置をとること。
     回答 濃厚感染の場にいらっしゃること、診断、消毒など手間がかかることは承知している。
(2) 校内の救急体制の充実を図るため、全ての教員が救急法を学べるよう研修を行うこと。
     回答 新採と、10年目に日赤に3日間研修に行かせている。中学の保健体育教員にも平成6年から10年にかけて、全員に研修を行わせた。以後3年に1度日本スポーツ振興センターの研修に行っている。小学校は日程上大変厳しいようなので、各校で消防署などにお願いしてやってもらっている。日本蘇生協会の紹介も。
(3) 健康教育の拠点、救急処置の実施の場として保健室が機能できるよう、必要な施設・設備の充実を図ること。《位置、広さ、外線電話、内線電話、冷暖房、湯沸かし器、足腰洗い場、隣接の相談室等》
     回答 各校、各地域でいろいろ差がある。校長を通して市町に要求してほしい。養護研役員を通して地区校長会へ働きかけもしてほしい。   
     組合 劣悪環境だ。室温が42度にもなるところで仕事をしている。具合が悪い子の環境としては、ひどい。他校の中古のエアコンを入れた例もある。文科省も方針を出した。静岡市では耐震工事優先で、エアコン導入が延期されたところもある。
     県教委 養護研『たちばな』を読んで状況はつかんでいる。
     組合 しっかりつかんで、対策を立ててほしい。
(4) 子どもの命と健康を守るため、「学校災害から子どもを守る静岡県連絡会(静岡県学災連)」との学習会の内容を生かすこと。
     回答 必要な情報等を、研修会等の機会に還元したい。

                          以上