静岡県人事委員会の21「報告と勧告」10/14は、どんなだった?

21県人事委員会報告&勧告

 10月14日(木)に静岡県人事委員会の報告と勧告が行われました。

 公務共闘や要求書提出も含め、全教静岡として6回の要請行動を行い、教職員の勤務の状況(決して「在校等時間」ではなく、拘束された勤務時間と持ち帰りなども含めた状況)を伝えてきました。とりわけコロナ禍での「一人の教員の限界を超えた対応を行」っている(県内のある小学校から保護者に向けたメール)実態、教職員の願い、子どもたちの状況については、詳しく述べてきたつもりです。

 ところが、

月例給2年連続据え置き、期末手当2年連続・昨年より大きく引き下げ

コロナ禍での働きを無視

 消費税増税など生計費の値上がりに加え、未曽有の事態=コロナ禍の中で奮闘している公務員・教職員の実態を見据え、労働基本権の代償機関として (本来労使交渉で賃金・勤務条件を決めるべきが、不当な法律のために公務員はそれができません。その代わりを人事院や人事委員会が代行している はずなんです)  当然賃金(月例給、一時金)の引き上げの勧告をするべきと、要請してきました。

 しかし勧告は、「民間給与との均衡」を理由に月例給は改定を行わないとしました。 

 にもかかわらず、特別給(一時金=ボーナス)は引き下げ改定、しかもいつものように、勤勉手当でなく期末手当から引き下げるとしています。2年連続で、昨年のマイナス0.05月より大きく、マイナス0.15月です。2年で4.5月から4.3月に引き下げてしまいました。給料×0.2月分=数万円マイナスって大きいものです。

 学校現場の多忙でいっぱいいっぱいの現状を考えたのか?の組合の質問には、多忙化には外部人材活用など任命権者(県教委)が工夫しているなどとしか事務局は答えません。いや、そうじゃないんだけど。

再任用、会計年度任用職員のい期末手当減額も

 しかも、再任用職員についても、もともと同じように働いて給料や一時金支給月数が6割なのに、それでも一時金を引き下げるというのです。

 さらに、実施は来年度ですが、会計年度任用教職員の一時金を引き下げることまで勧告しました。

 再任用や会計年度任用職員について、公民比較をしたのかと県人事委員会事務局に聞くと、「法律で正規に準じる」と。都合のいい時だけ、同じにするいつもの返事です。

定年が延びても(-_-;)

 定年の引き上げについては、例によって「均衡の原則」として国に沿った扱いとするとしています。23年度から段階的に31年度までに65歳とするしています。60歳前の年度に情報提供するとしているので、今年度に県教委から条例や規則の改正案が提起されるかもしれません。

 給料7割程度で、それに合わせて60歳前の給料のあり方も検討するとしています。65歳までの給料カーブにしていくという腹でしょうか。

 

時間外月100時間超の職員が増加は甚だ遺憾と言うけれど

 勤務条件の課題について、例年と同じに過度な時間外労働の是正を第一に挙げています。上限時間の特例(月100時間、年間720時間等)を超えた職員が増加したことは甚だ遺憾としていますが、これは昨年度の「誠に遺憾」を多少格上げしただけです。

 任命権者に指導したと言いますが、「気をつけてね」程度ではなかったか。「適正な人員配置や柔軟な配置転換等により、時間外勤務の削減を図ることを改めて指導した」との言及は大事だが、「改めて」でわかるように昨年度と同様であるので、効果は疑問です。勧告説明会で、任命権者を怒ってほしいとお願いしました。尚、このことは、知事部局職員だけでなく、県教委・学校現場にも言えることだと県人事委事務局は認めました。

自己マネジメントで多忙化解消できますか?

 気になるのは、依然として多忙解消に「自らの業務の進め方を見直すなど、自己マネジメントに努める」などと言っていることです。自己責任だということでしょうか。今まで子どもたちや学校教育のために必要だと思って長年やってきたことを削れと言うのでしょう。どこを?どう?

同じことを何度も言わせないで💢 …と言ってほしい

 「教職員の多忙化の解消」という項を報告で設けています。県教委に対して、「子供と向き合う時間や指導準備時間が増えていると感じる教員の割合」は60%以下で、「業務改革プランの目標値である100%に向けて更なる取組を推進する必要がある」と言っています。これは昨年とほぼ同じ文面です。「 」内は全く同じ文章です。

 普通だったら「同じことを何度も言わせないで💢」と怒られても仕方のない状況です。静岡県人事委員会は、なんて優しいのでしょう。その優しさは、労働基本権の代償機関として本来教職員に向けるところのはずです。

 

 尚、「報告」では「組織を挙げて徹底した時間外在校等時間の縮減に取り組む」ように県教委に言っています。ぜひ努力させてほしいものですが、この「在校等時間」と言い、なぜ勤務時間と言わないのでしょうか。参照→「公立学校の教師の勤務時間の上限に関するガイドラインhttps://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/detail/__icsFiles/afieldfile/2019/04/01/1413004_3_1.pdf

 給特法と労基法の矛盾を隠したいのがありありです。(最近の埼玉地裁は時間外裁判で、この矛盾について、時代に合わないとしています。時代ではなくもともと法律に整合性がないものです)

 そして県人事委員会は、「教職員の多忙化の解消の取組を支援」すると言っています。でも、「必要な助言」だけで、財政的人員的支援はできないと説明されました。多忙化の解消に必要なものは?学校現場だけでなく、ふつうにみんな分かっているよね。

 

 県人事委員会の報告は、「子育て支援及び介護支援等の充実」「多様な働き方の実現」「心の健康づくりの推進」「ハラスメント防止対策の推進」「能力・実績に基づく人事管理の推進」「人材の確保」「障害者雇用等に関する取組」「公務に対する信頼の確保」と続きます。

 この中で具体的に動きがわかるのは、「能力・実績に基づく人事管理の推進」でしょうか。労使協などでも何度も説明を受けています。納得できませんが。人事管理は、他の項目も含めた総合的な取組の推進の中で行うものではないでしょうか。

 ぜひ、「報告と勧告」を読まれて、ご意見をください。

http://www.pref.shizuoka.jp/zinzi/salary/r3_report.html