萩生田光一文部科学大臣の大学入試にかかわる「身の丈発言」を糾弾するとともに、英語民間検定利用の中止と大臣の辞任を求めます

【全教談話】

萩生田光一文部科学大臣の大学入試にかかわる「身の丈発言」を糾弾するとともに、

英語民間検定利用の中止と大臣の辞任を求めます

        2019年10月31日

           全日本教職員組合

           書記長 檀原毅也

 

 2021年度大学入試の英語民間検定利用について、地方と都市部では受験できる検定の種類や回数に差があることや、検定料が高額なため家庭の経済状況によって受検機会が制限される可能性があることなど、すべての受験生にとって平等なものではないと批判が高まっています。

 

 これに対し、萩生田光一文部科学大臣は、10月24日、BSのニュース番組に生出演し、そうした批判があることを認めながらも「裕福な家庭が回数受けてウォーミングアップできるみたいなことは、もしかしたらあるかもしれないけれど、そこは、私は身の丈に合わせて2回を選んできちんと勝負して頑張ってもらえば」と発言しました。

 

これは、入試「改革」の不備を棚に上げ、受験生に「身の丈に合った」受験を求めるもので、文科大臣としてまったく不適切な発言です。文科大臣は教育行政の責務を負うもので、憲法が保障する「すべて国民は…ひとしく教育を受ける権利を有する」(憲法26条)を遵守し、教育の機会均等を保障する教育政策をすすめる責任があります。しかし、地域間格差や経済格差を容認し、子どもたちに自分のおかれた環境に見合った教育を受けるよう求めるなど、あまりにも不見識で決して容認できるものではありません。

 

 批判が収まらずいっそう強まり、萩生田大臣はようやく発言を謝罪・撤回しましたが、文科大臣の謝罪・撤回で幕引きを図ることなど到底許さるものではありません。安倍首相の任命責任が厳しく問われます。

 

それは、「身の丈発言」が単なる個人的な失言ではなく、安倍政権全体の政策にかかわる根本的な姿勢を表したものだからです。

 

 安倍政権は「教育再生」を掲げ、戦後民主教育を徹底的に解体し、「戦争する国づくり」「世界で一番企業が活動しやすい国づくり」を目指し、大企業・財界が求める「グローバル人材育成」を強力に推し進めようとしています。英語民間検定を利用する大学入試「改革」もその一環です。

 

 こうしたことから、全教は、すべての子どもたちに等しく教育を受ける機会を保障するため、英語民間検定利用の中止と、文科大臣として不適格な萩生田文科大臣の辞任を強く求めるものです。

 

 

                             以  上

 

注;その後、英語民間検定の利用は、5年後に延期されました。自らの失言(本音?)だけでなく、先頭に立って反対した高校生たちの存在は大きかったと思います。野党の共闘も。